2012 Fiscal Year Research-status Report
四級アンモニウムフルオリド類に促進される標識反応の開発とイメージングへの応用
Project/Area Number |
23510289
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
加藤 孝一 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター分子イメージング研究部, 室長 (50382198)
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Keywords | PET / テトラブチルアンモニウムフルオリド / アミノイソ酪酸 / アミノレブリン酸 / イブプロフェン |
Research Abstract |
11C標識アミノ酸はポストFDG-PET候補の代表的な腫瘍PETプローブである。しかし、標識合成が11C-メチオンニンを除いて困難であること、11C-メチオンニンも代謝的な脱11C-メチル化が生じ良好な画像が得られるわけではないことから、腫瘍PETプローブとしての開発が進んでいなかった。本研究では前年度、堅牢で汎用性の高い11C標識アミノイソ酪酸(11C-AIB)のワンポット合成法の開発に成功した。今年度は腫瘍と急性炎症を同時に発症したモデルマウスに対する11C-AIBのPETを撮像し、11C-AIBの腫瘍への集積が腫瘍に選択的に高いことを明らかにした。同様のモデル動物に対して18F-FDGは腫瘍に選択的な集積を示さないことから、11C-AIBは放射線治療等の効果を早期に診断できるプローブとして期待される。また、11C-AIBは正常な血液脳関門(BBB)を通過しないが脳細胞には速やかに取り込まれることからBBB透過性の機能をPETにより非侵襲的に判断するプローブとして有望と考えられる。本年度は脳腫瘍および脳炎症モデルラットに対して11C-AIBが集積することを見出した。末梢の結果を踏まえて判断すると、この11C-AIBの集積はそれらのモデルラットにおいてBBBの機能が破綻していると推測されるとともに、11C-AIBのBBB機能マーカーとしての有用性を示した結果であると考えられる。 テトラブチルアンモニウムフルオリドを利用したメチル化反応は、新たに11Cアミノレブリン酸誘導体の標識合成(11C-MALA)に有効であることを見出した。11C-MALAは光線力学療法の効果を予測するプローブとして有望と考えられる。さらに11C標識条件下においてC-C結合形成を連続的に達成する方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標識合成法の開発に成功した11C-AIBについてその評価を小動物PETにより行ったところ、11C-AIBが炎症には集積せずに腫瘍に選択的に高集積するPETプローブであることを明らかにした。本成果は論文として報告するに至った。さらに、11C-AIBについては、PETによりBBB機能をイメージングするプローブとしての有効性を見出した。本成果を学会発表した。四級アンモニウムフルオリドを利用した標識反応はアミノケトン類のメチル化にも有効であり、アミノレブリン酸誘導体である11C-MALAの合成を達成した。11C-MALAはin vitroにおいて腫瘍の光線力学療法の効果を予測するプローブとして有望であった。本成果を学会発表した。さらに四級アンモニウムフルオリドを利用した標識反応は、連続C-C結合形成法として利用できることを明らかにした。本成果は日本核医学会のポスター発表し、ポスター賞(一位)を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年は当初の計画に従い研究を実施する。 11C-AIBが選択的に腫瘍に高集積するPETプローブであったことから、今後、治療評価を診断するプローブとしての評価を行いヒト研究への準備をする。また、11C-AIBのBBB機能マーカーとしての有効性をまとめる。 11C-MALAの動態を詳細に検討し、in vivoにおいて光力学療法の効果を判断するプローブとして開発する。 11C-イブプロフェンの類縁体を標識合成し、炎症プローブとしての評価を行う。 テトラブチルアンモニウムビフルオリドのメチル化反応を利用した小分子の標識合成法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
11C-AIB、11C-MALA、11C-イブプロフェン等の標識合成に必要となる試薬、ガラス器具、等の購入に研究費を使用する。PET研究に必要な実験動物等に研究費を使用する。また研究成果の報告として学科発表等の旅費および参加費、ならびに論文投稿の英文公正等に研究費を使用する。
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Research Products
(8 results)