2013 Fiscal Year Annual Research Report
洪水時の攪乱強度とレフュージアに着目した礫原植生の維持機構の解明
Project/Area Number |
23510298
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
浅見 佳世 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (40464656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 昭彦 一般財団法人建設工学研究所, その他部局等, その他 (30237458)
藤田 一郎 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10127392)
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Keywords | 礫原植生 / カワラハハコ / 乱流シミュレーション法 / 画像解析 / 撹乱 / 洪水 / レフュージア / 掃流力 |
Research Abstract |
本研究では、洪水の撹乱を受けて成立する礫原植生の維持機構を明らかにするために、生態学的方法と水理学的方法を用いた解析を行った。 生態学的な方法としては、定置調査枠による追跡調査として、全種を対象とする植生動体調査と指標種群を対象とする個体群動態調査とを行った。その結果、2011年に生じた生起確率が約10年に1回の中規模出水では、十数年に1回の生起確率の出水時と同様に、礫原植生は砂州のごく一部にのみ残っただけに過ぎないこと、一方、2013年に生じた生起確率が5,6年に1回の小規模出水では、一年草植物は大半が消失するが、多年草植物は実生を除き残存傾向にあることが確認できた。 水理学的な方法としては、3次元流の数値解析(乱流シミュレーション法)による洪水流の再現と、洪水時の画像解析による数値解析の妥当性の検討を行った。3次元の数値解析では、複数の規模の流れを再現し、植生に与える撹乱の強度の指標として河床せん断応力の空間分布を明らかにした。また、2011年の洪水時に撮影した動画に時空間ビデオ画像解析手法(STIV 法)を適応し、3次元流の数値解析による表面流速分布がSTIVの結果とが概ね一致していることを検証した。 以上の結果から、河床せん断応力の分布は砂州の縦断形状に対して非対称であり、礫原下流側では大規模出水時にも撹乱強度が閾値を超えないこと、その位置は、大出水時に礫原植生が残存したレフュージアの位置と一致することが明らかとなった。これらの結果は、礫原植生の維持には、大出水時にも撹乱強度が閾値を超えない立地の存在が寄与していることを示唆する。
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