2014 Fiscal Year Annual Research Report
長期的シカ生息域における照葉樹林の生物多様性再生と外来種拡散に関する研究
Project/Area Number |
23510300
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
前迫 ゆり 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (90208546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 護 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70183291)
鈴木 亮 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (90418781)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 照葉樹林 / シカの採食圧 / 不可逆的変化 / シカ柵 / 外来種 / 可塑性 / 光環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は当初3年計画であったが,モニタリング調査で確認すべきことが生じたことから,4年間,調査研究を行った。最終年度はシカによる影響をシカ柵設置内外で確かめるとともに,不嗜好植物の追跡調査/化学的分析などを行った。シカ柵実験区では前回科研費によって閉鎖林冠で7年間,外来種カットを含むシカ柵内外での生態モニタリング調査を実施した結果,ナギを含む閉鎖林冠では大きな変化がみられなかった。今回は林冠環境と動態の関係を評価するために,ギャップ林冠と疎開林冠にシカ柵を設置をして森林動態を追跡調査した。 その結果,二年間で草本類を中心に顕著な植被率および種数の増加が確認された。とくにオオバチドメは葉面積および草高に顕著な増大がみられた。しかし光環境が増大しても,まったく種数に変化がみられない場合もあり,多様性の増加には土壌水分条件といった立地要因やギャップの成立年代が関与していると考えられた。これについては,つぎの研究課題としたい。 疎開林冠において,顕著な多様性の増大は認められなかったが,シカ柵内外でイチイガシの実生の生残と生長に有意差が認められた。 つぎに,シカの採食対象ではなかった不嗜好植物クリンソウに対する採食影響にも着手した。化学的分析,クリンソウに対するシカ柵実験なども行い,クリンソウの可塑性を検証する実験を開始した。地域差,器官差などが認められた。可塑性と生物多様性には関係性がみられると考えられることから,今後,さらに研究を進めたい。 以上,シカ柵実験を中心にシカの多様性への影響と,植物の可塑性をと多様性の関係について研究を実施し,これらの一部を書籍にまとめた。成果公開助成が採択されたこともあり,7月に書籍として刊行予定である。また,生態学会などで口頭発表およびシンポジウムなどを行った。
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Research Products
(8 results)