2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510307
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
桑名 恵 お茶の水女子大学, グローバル協力センター, 講師 (80596073)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 成治 お茶の水女子大学, グローバル協力センター, 客員教授 (80283711)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 市民社会支援 |
Research Abstract |
本年度は、紛争後および大規模災害における市民社会支援の動向をとらえるための政策分析、および地域研究アプローチによる対象コミュニティの調査を実施した。 政策分析としては、南スーダン、東ティモール、アフガニスタン、東日本大震災の事例を現地調査および政策文書から分析した。南スーダン、東ティモールの現地調査では、グローバルな援助効率向上にかかわる政策(「パリ効果宣言」等)が国のオーナシップを強調するあまり、市民社会支援が減少傾向にあること(南スーダン)、紛争後の地方統治政策の停滞が、村レベルの開発、市民社会の発展への阻害要因となっていること(東ティモール)が考察された。アフガニスタンは、治安状況により現地調査が不可能であるため、現地の市民社会組織とスカイプ会議を実施したり、研究協力者と、アフガニスタンの市民社会をサポートする方策について検討会を6回行った。また大規模災害である東日本大震災において、市民社会支援が増加したことにより、現地組織育成、地域の固有要因に重点を置いた新しい潮流が見られ、紛争後の市民社会支援にも参照できる政策を抽出した。 地域研究アプローチによるコミュニティ調査は、東ティモール、南スーダンで実施した。東ティモールでは、2003年以来現地調査を続けている村で、外部者による現地組織育成が集中して行われるという新しい動きが見られた。これらの動向が、どのように市民社会の形成、村の開発、社会関係資本に影響を及ぼしているのか、地域の固有要因との関連も含めて調査を開始した。南スーダンでは、グローバルな政策が村に及ぼす影響を、現地NGO、村人、現地行政組織からインタビューを行った。東日本大震災被災地においては、外部者の大規模な支援が実施される状況下の、外部者と現地組織の関係性について、言葉・文化を共有する分海外より近く、深い視点で考察でき、紛争後の市民社会支援への示唆を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・東ティモール、南スーダンで現地調査を実施し、市民社会支援の政策、コミュニティの動向を調査した。(NGOへの協力による調査(南スーダン)、他事業での対象地訪問時に行った調査(東ティモール)であったため、旅費は一部のみしか発生していない。)・アフガニスタンの市民社会組織ネットワークとのスカイプ会合、日本でアフガニスタンの市民社会支援にかかわる団体と6回の検討会を行った。・東日本大震災被災地での市民社会支援の動向に関し、政策分析及び現地調査を行った。(NGOの協力により、旅費は発生していない。)
|
Strategy for Future Research Activity |
・東ティモール調査:2003年より継続的に調査を行っている村での、市民社会組織の動向を分析し、社会資本論等の変化にかかわる調査を行う。市民社会支援政策と地域固有要因の関係性も併せて分析する。・南スーダン調査:グローバルな政策が、国づくりの復興初期における市民社会支援政策に及ぼす影響を、現地の援助組織関係者へのインタビュー、コミュニティ調査により実施する。・アフガニスタン調査:治安の回復が見込めないため、第三国において市民社会組織関係者へのインタビュー調査を実施する。本年度は、日本国政府がアフガニスタン復興会議のホスト国となり、30名のアフガニスタン市民社会組織代表者の来日が予定されている。アフガニスタン市民社会組織の受け入れ側の実行委員のメンバーとなり、分科会、本会合での動向を記録し、独自のインタビューも実施することで、アフガニスタンの市民社会支援の現状、課題、地域別の特有の事情について分析する。・東日本大震災被災地調査:大規模災害の復興過程における、外部者と現地組織の関係性の変遷、および地域の固有性との関連について調査、分析し、海外での平和構築過程における市民社会支援への示唆を得る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・東ティモール、南スーダン現地調査(渡航費、日当宿泊費、現地移動費、アンケート調査研究補助、通訳費、研究補助費、書籍代、統計分析ソフト)・アフガニスタン市民社会代表者へのインタビュー、アフガニスタンNGO復興会議本会議、分科会分析(テープおこし、編集、研究補助費、書籍代)・東日本大震災の市民社会支援政策の分析(旅費、日当宿泊費、研究補助費、書籍代)・上記調査にかかわる関連書籍・その他消耗品費
|
Research Products
(2 results)