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2012 Fiscal Year Research-status Report

ラオスの土地・森林政策をめぐる中央地方関係

Research Project

Project/Area Number 23510310
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

瀬戸 裕之  京都大学, 東南アジア研究所, 特任研究員 (90511220)

Keywordsラオス / 農林政策 / 土地政策 / 資源管理
Research Abstract

本研究は、1975年以降に国家統合を進めながらASEAN地域統合に向けて地方分権化を行っているラオスでの土地・森林政策の変化と実施過程について考察し、中央政府、地方行政、地域住民の間の相互関係を明らかにすることを目的とする。
平成24年度は、次の研究課題を行った。
第1に、ラオスの社会と環境の変化について、11月にヴィエンチャン県で現地調査を行った。ラオスの内戦期における山地部住民の移住とその後の生業変化を考察することによって、ラオスを「被戦争社会」としてとらえなおすことを試みた。調査の結果、戦争によって強制的に平野部に移住させられた住民たちは、戦後の混乱と環境の変化を経験したが、1990年代以降になると海外に亡命した親戚と結びついた新しい生業の形成が進み、独自の地域発展を行っていることが明らかになった。この研究については、東南アジア研究所のワーキング・ペーパーとして出版するように準備中である。
第2に、ラオス北部で中国企業のゴム植林と結合した村の再編に関する研究を、昨年度から継続して行った。そして、ラオスの地域統合への参加過程での資源管理について、ラオス政府、外国企業、地域住民の関係を考察した。その結果、ラオス政府、中国企業、地域住民の関係は、三者の間で締結される契約の内容によってバリエーションがあることが明らかになった。例えば、同じポンサーリー県でも、クヴァー郡で行われていたゴム植林では農民が土地を管理しており、焼畑も継続するなど生業に多様性がみられた。一方で、ブンタイ郡で行われているゴム植林は企業が土地を管理しており、住民は自らの食料を生産する土地を持っていないため、住民の食料の確保が課題となっていた。この研究成果の一部は、10月に開催されたアジア政経学会全国大会で報告し、さらに、平成25年1月に京都大学東南アジア研究所で開催されたワークショップでも報告を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前年度の平成23年度に、ラオス北部における外国投資の拡大と地方行政の対応、住民への影響に研究の焦点をあてることで研究枠組みを明確にすることができた。従って、平成24年度は、1)ラオス北部の3つの県(ポンサーリー県、ルアンナムター県、ウドムサイ県)の状況比較、2)ポンサーリー県内での複数の郡の間での状況比較、3)ゴム植林と茶の生産の違い、の3つの課題について、後期に集中して調査・分析を行った。この調査によって、外国企業、地方行政機関、地域住民の関係と、外国投資に伴った土地管理のバラエティーと問題点を明らかにすることができた。
さらに、前年度に行った農林政策に関する調査結果に基づいて、ヴィエンチャン県を事例に、戦争移住にともなった生業と環境の変化に関する調査を実施し、研究を発展させることができた。この調査結果から、ラオスの社会と環境の変化は、1960年代、1970年代の内戦期の戦争と移住から大きく影響を受けていることが示された。この調査結果は興味深いものであり、平成25年度も引き続き発展させることが可能である。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度の研究については、次のように推進する。
第1に、中国企業の投資にともなったラオスの移住と村の再編について、前年度の24年度までに行った資料収集で得た情報を整理して論文を執筆し、公表する作業を行う。特に、日本の学会誌への投稿、英語論文の執筆作業を行う。
第2に、昨年度に行った、ラオス内戦期の戦争移住と住民の生業・環境への影響に関する調査を引き続き実施する。特に、ヴィエンチャン県だけでなく、シエンクアーン県、ホアパン県、ボーリーカムサイ県など、戦争による被害が大きかった地域で、ヴィエンチャン県に移住する前に住民が住んでいた村を訪問し、調査を実施することによって、戦争移住の全体像を把握し、住民の生業変化、環境への影響のバリエーションを明らかにする。
第3に、平成25年度後期にラオスで研究報告会を開催する。報告会では、1960年代から現在までのラオスの環境と社会の変化について、平成25年度までに行った調査結果に基づいて報告する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究の推進方策に従い、ラオスでの現地調査と研究報告会の開催を行う。従って、次年度の研究費は、次の用途に支出する予定である。
物品費については、支出の予定はない。
旅費については、ラオスで2回の現地調査と研究報告会を行うのに必要な、宿泊費、交通費(日本とラオス間の航空機代金、ラオス国内移動のための費用)のための費用を支出する予定である。
人件費・謝金については、ラオスでの現地調査への協力者に対する謝金、ラオスでの研究報告会の参加者に対する謝金を支出する予定である。
その他、現地での書籍、資料の購入を行う予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ラオス北部における中国のゴム植林と結合した村の再編

    • Author(s)
      瀬戸 裕之
    • Organizer
      東南アジア学会関西例会
    • Place of Presentation
      京都大学
  • [Presentation] ラオス北部における中国のゴム植林と結合した高地民の移住

    • Author(s)
      瀬戸 裕之
    • Organizer
      アジア政経学会全国大会
    • Place of Presentation
      関西学院大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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