2012 Fiscal Year Research-status Report
ブータンの農村社会内における経済的格差の要因:稲作地域と畑作地域の比較研究
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23510313
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 晶子 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (90467522)
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Keywords | 国際研究者交流 / ブータン / 農村開発 / 経済格差 |
Research Abstract |
平成24年度は、当初は、ブータン中央部での調査を予定していたが、本研究の現地カウンターパートであるブータン農業省と協議の結果、貧困の問題が大きいと思われる、東部ブータンの2県で、調査を行うこととなった。この2県は、タシヤンツェ県とモンガル県であり、前年度の調査地とは、まったく別の場所である。今年度の調査は、約1か月間で、タシヤンツェ県で1か所、モンガル県で一か所で行った。 今年度の調査からは、前年度までに明らかになっていた、労働力と経済格差の関連がさらに、確認された。それに加えて、道路へのアクセスが人々の生活に与える影響、特に、コミュニティ内の経済格差に与える影響も確認された。モンガル県の調査地は、最近、農道が開通し、以前は、徒歩で2日-3日かかっていた、市場へのアクセスが、一日以下となった。それに伴って、人々は、馬を売り、小型乗用車を買うなど、生活を適応させようとしているが、農道へのアクセスがないときには、馬を使ったポーターなどの仕事で、少額ながら日銭を稼ぐ機会があったものの、小型乗用車を買うことができる人は、コミュニティ内の比較的裕福な人に限られ、収入の機会がそれらの人に集中する傾向が発生することが観察された。これは、稲作地、畑作地を問わずおこる現象であることを考えると、過度にその差を強調することは、データの分析の際に好ましいことではないことが示唆された。 また、調査の結果については、ブータン農業省の関係部局、ブータンで活動する援助団体の関係者と意見交換を行い、調査の結果を具体的な政策やプログラムに生かすための方策を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」に記載した、(1)「経済的格差」の定義、(2)畑作地と稲作地での経済格差の創出の比較については、おおむね順調に進展している。(3)の政策やプログラムの立案への示唆についても、ブータン農業省や、ブータンで活動する援助機関関係者と情報交換を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ブータン西部地域で、約1か月間、前年度までと同様の問題意識で調査を継続する。ブータン農業省の全面的な支援が期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
約1か月間のブータンでの現地調査、調査結果の分析に必要なコンピュータの購入、資料の購入、現地調査に必要な調査補助者への謝金等は、主な使途として予定されている。
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Research Products
(3 results)