2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23510321
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
江藤 双恵 獨協大学, 国際教養学部, 非常勤講師 (50376828)
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Keywords | 国際情報交換 / タイ / 子育て / 女性 / 就学前教育 / 子ども / 地方自治体 / 福祉政策 |
Research Abstract |
平成24年度中の平成25年3月19日~24日にかけてコンケン県にて補足調査を行ったほか、フィールドノートの整理、収集文献、資料の分析が今年度の主たる作業であった。 1、補足調査:「子育て支援」は自治体の教育行政と福祉行政、保健衛生事業の一貫として行われる状況に変化なく、特に新しい知見は得られなかった。したがって、本研究の研究期間中に、東北タイおよび北部タイの農村部で「子育て支援」という名目で重点的に行われる施策は特に開始されなかったと結論づけられる。地方自治体の関係者への聞き取りによれば、就学前の子どもに関する施策は「教育」に特化する傾向があり、親の就労支援の重要性はほとんど認識されていない。また、福祉行政では、高齢者支援の重要性のみが高まっており、福祉事務では、担当者の専門性が重視されつつあることが判明した。他方、女性は依然として支援すべき対象として認識されてはいるものの、支援領域は収入創出に限定されており、働く女性の子育て支援という問題設定はまったくなかった。その最大の理由は、子育ては親族によって支援されているとする通念が強いことである。実際のところ、本研究の研究期間以前、期間中に行った聞き取りの中では、子育てを親以外の人が担っている事例は一般的であった。 2、文献、資料によって得た知見:政府文書では、子育てに関する知識を普及する対象として、祖父母、親の再婚相手などが挙げられており、実際には実親以外が子どもの養育を担っている事例の多さや、さまざまな養育世帯の形態が認識されている。親以外の人による子どもの養育が子どもに悪影響を及ぼす懸念が政府文書の中で指摘されているが、近年の日本人文化人類学者を中心とした研究、およびタイ人研究者チームによって行われた研究では、親によって育てられた子どもと親以外の人に育てられた子どもの間に著しい差はないという見解が示された。
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