2013 Fiscal Year Annual Research Report
環大西洋におけるカルヴァン主義諸派のディアスポラ形成とピューリタン植民地の展開
Project/Area Number |
23510322
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
増井 志津代 上智大学, 文学部, 教授 (80181642)
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Keywords | ピューリタニズム / カルヴァン主義 / ニューイングランド / 大覚醒運動 / アメリカ合衆国 / 敬虔主義 / ホィットフィールド / エドワーズ |
Research Abstract |
カルヴァン主義の国際的なネットワークがニューイングランド・ピューリタニズムとどのような影響関係を持つのか探ることにより、アメリカのピューリタン運動の特徴を浮き彫りにする研究を行った。研究初年度は、大学のサバティカルにあたり、ハーヴァード大学に研究員として滞在し、図書館や資料館で調査研究にあたると共に研究協力者のDavid D. Hallをはじめとする様々な研究者との交流を持つことができた。期間中、英、仏、蘭、伊の諸都市訪問と資料調査を行った。主な研究成果は二点にまとめられる。(1)宗教と共に経済、植民地建設の中軸となった商人に着目することで新たな観点が得られた。これまでの研究では、ニューイングランドは本国イングランドとの対比で説明されることが多かった。しかし、大陸ヨーロッパの商業都市の方が形態的にボストンを始めとするニューイングランド諸都市と似ている。政治的にも、スイスやイタリア諸都市の共和政治がマサチューセッツ湾植民地の政治体制のモデルとなったと思われる。これについては最終年度に日本ピューリタニズム学会で成果の一部を報告し、論文として発表した。(2)国際カルヴァン主義は共有する神学思想により理念的共有基盤を持つが、一枚岩ではなくそれぞれの地域の事情に応じて多様な展開を見た。信仰告白、信条の作成や会議などで一致点を模索したものの地域差がかなりあったのである。しかし、北アメリカにおいては18世紀植民地時代の終盤、後の13植民地となる地域でかなりの一致点を獲得するようになる。これは、ホィットフィールドやエドワーズを中心とする第一次大覚醒運動が、ボストンの教会やフランクリン等による印刷出版に助けられ、共有意識を作っていったためと解釈できる。アメリカ独立革命直前におきたこの宗教運動は、メソジスト等の敬虔主義運動と融合し、アメリカ福音主義という共有の宗教基盤を形成していったのである。
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Research Products
(3 results)