2012 Fiscal Year Research-status Report
東アジア植民地期映画フィルム史料の多角的研究モデル構築
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23510328
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三澤 真美恵 日本大学, 文理学部, 教授 (90386706)
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Keywords | 台湾 / 韓国 / 香港 |
Research Abstract |
本研究の三つの目的(①国立台湾歴史博物館所蔵植民地期映画フィルム史料の採録データ整理公開、②同データを利用した分野横断的な研究可能性の提示、③東アジア他地域との共同研究による植民地期映画フィルム史料の多角的研究モデルの構築)に即して、2012年度は合同研究会1回、研究者招聘による講演会1回、国際ワークショップ1回を実施したほか、研究代表者は後掲の通り招待講演3回、国際学会での研究発表1回を行ったほか論文1本を発表した。ゲスト招聘による合同研究会、講演会、国際ワークショップの実施概要は下記の通りである。◎合同研究会2012年6月24日、報告者と報告テーマ:土屋由香(愛媛大学)「広報文化外交としての原子力平和利用キャンペーン――原子力平和利用USIS映画に焦点を当てて」。◎講演会2012年9月29日、講演者と講演テーマ:Johannes Schonherrヨハネス・シューンヘル(フィルム・キュレーター)「北朝鮮と東ドイツ:メディアによる大衆の形成」、コメンテーター:門間貴志(明治学院大学)、◎国際ワークショップ「東アジア植民地期における映画フィルム史料をいかに読み解くか」2012年度10月13日、報告者と報告テーマ:三澤真美恵「皇民化を目撃する――映画『台南州 国民道場』に関する試論」、許殷ホ・ウン(高麗大学)「生きている歴史、動いている資料――韓国近現代の映像アーカイブと歴史研究の拡張」、金麗実キム・リョシル(釜山大学)「朝鮮映画の研究における現況と課題」、邱淑【女亭】;(香港中文大学)「日本占領軍による香港映画工作とその構想をめぐって」、劉麟玉(奈良教育大学)「映画『南進台湾』にみられる音楽的要素」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は上記のようにゲスト招聘による合同研究会と講演会によって、東アジア植民地期映画フィルム史料の研究を欧米圏に関する研究と接合するための手がかりを得ることができた。また、国際ワークショップ実施によって、東アジア植民地期映画フィルム史料のうち台湾における研究と韓国や香港における研究とを架橋するための地域横断的プラットフォーム、さらには映画研究と音楽研究とを架橋するための分野横断的プラットフォームを構築することができた。ただし、国立台湾歴史博物館所蔵の映画フィルム史料の整理について、映像資料を言語化して採録したデータの校正段階に入ったものの、採録項目そのものについて見直しを図るべき点が見つかった。次年度の課題とする点である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の三つの目的のうち①(国立台湾歴史博物館所蔵植民地期映画フィルム史料の採録データ整理公開)に関しては、今年度見直しの必要に迫られた映像資料の採録項目に関する問題を解決することが課題となる。そのために、映像資料のデータ管理について実績のある台湾の国家電影資料館などからアドバイスを求め、そのうえで公開に向けたフィルム資料のデータ整理を進めたい。同時に、②(①のデータを利用した分野横断的な研究可能性の提示)および③(東アジア他地域との共同研究による植民地期映画フィルム史料の多角的研究モデルの構築)については、ある程度の蓄積もできつつあるので、これまでの研究を総括するような国際ワークショップないし国際シンポジウムを実施して成果を広く公開することをめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の目的のうち、①(国立台湾歴史博物館所蔵植民地期映画フィルム史料の採録データ整理公開)を推進するための専門的知識の提供にかかわる謝金、実際のデータ整理入力に伴う人件費、②(①のデータを利用した分野横断的な研究可能性の提示)および③(東アジア他地域との共同研究による植民地期映画フィルム史料の多角的研究モデルの構築についてはゲスト招聘や調査にかかる旅費、専門的知識の提供にかかわる謝金、通訳・翻訳にかかわる報酬、会議実施に伴う人件費などを中心として研究費を使用する予定である。
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