2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロネシア信託統治の始原期に関する研究―委任統治からの移行と植民地社会の再編
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23510330
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
今泉 裕美子 法政大学, 国際文化学部, 教授 (30266275)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ミクロネシア / 南洋群島 / 信託統治 / 南洋群島 / 太平洋戦争 / 引揚げ / 植民地社会 / 南洋庁 |
Outline of Annual Research Achievements |
総括作業を中心に、この3年間の調査を通じて本課題に関する史・資料の発掘が殆ど行われていないこととその僅少性、体験者からの取材の重要性を確認したことで、総括作業を阻害しない範囲で調査を続けた。すなわち国内における史・資料収集は戦時及び日本敗戦直後の南洋群島に関係する行政史・資料を調査し、アメリカで入手した南洋庁史料・米軍史料と比較し分析を進めた。帰還者の未公刊手記、所蔵史料について複写した。加えて南洋群島から帰還した兵士や部隊の記録を収集し、米軍占領下の生活、帰還過程の情報を抜き出し、これを踏まえて民間人から取材し、本人たちも忘れていた/気付かなかった事実を引き出しえた。現在取材可能なインフォマントの最高齢者は、日本敗戦時は20代前半が限度であり、現地召集年齢以上の経験者からの取材がかなり不可能な現状を踏まえた取材方法として有効であった。以上から米軍占領下の植民地社会の実態を、断片的ながらも大分明らかにしえた。 聴き取りは沖縄と本土、ミクロネシア出身者に実施した。沖縄では南洋群島帰還者会、本土ではパラオ小同窓会の会員、戦前在住島嶼はサイパン、テニアン、パラオ諸島、マーシャル諸島を中心に実施した。 以上の史・資料をもとにアメリカが南洋群島の戦時植民地社会の情報をどの程度入手、分析し戦時占領から信託統治に向けた政策を構想したのか、を検討した。 2014年は第一次世界大戦100周年で、これをテーマとする国際関係史学会で第一次世界大戦期の日本の南洋群島政策について報告した。第一次世界大戦後の委任統治制度の成立や外交関係が、アメリカの南洋群島政策やその後の信託統治制度の創設に深く関わること、第一次世界大戦からの通事的分析の必要性を再確認した。 以上の内容について日本の移民研究者、植民地研究者また北マリアナ諸島の研究者と研究交流し、本研究で明らかにしえた点、今後継続すべき点を明確にした。
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Research Products
(3 results)