2011 Fiscal Year Research-status Report
バングラデシュのソーシャルビジネス研究による、地域の自立的発展と金融の役割の考察
Project/Area Number |
23510332
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
見山 謙一郎 立教大学, ビジネスデザイン研究科, 准教授 (70600386)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / BOPビジネス / 開発経済 / バングラデシュ / 産業構造 / マイクロファイナンス / ソーシャルビジネス |
Research Abstract |
平成23年度は、バングラデシュの金融、政策等を把握することにより、本研究のベースとなるデータ収集に注力した。1、バングラデシュの経済構造(経済階層)の把握バングラデシュ中央銀行総裁や、BRAC銀行(NGO・BRAC設立の商業銀行)等への調査により、同国の経済構造(経済階層)が把握出来た。具体的には、ピラミッドの頂点に資本金1億円以上の大企業、そして資本金5千万~1億円の大・中堅企業が続き、更に専門職郡(建築家、医師等)と、中小企業(SME)が控え、その下に、一般個人が存在するという構造である。そして、この階層までが、商業金融にアクセス可能である。これら階層の下に、商業金融にアクセス出来ない農村部の人々が存在し、BRACやグラミン銀行等が、マイクロファイナンスによる支援を行っている。2、バングラデシュの金融機関の役割の考察同国中央銀行総裁、BRAC銀行等への調査により、同国の社会的課題の解決、自立経済に向けた仕組みづくりの為に、SMEの支援に注力中であることが確認出来た。同国のSMEは、「忘れられた中間層」と呼ばれ、十分に金融にアクセス出来ていない状況にあった。BRACは、マイクロファイナンスからの卒業組を含む、SME向けの商業金融機関として、BRAC銀行を2001年に立ち上げ、融資額の50%以上を中小企業に振り向けるという経営方針の下、わずか10年間に国内第6位の銀行にまで急成長させている。ローンサイズは、US$3,000~400,000で、貸倒率は5%程度と極めて低い。(1)在庫管理を教育すること(2)日々の売り上げを管理できるよう教育すること(3)銀行員に地元の出身者を雇用し、人間関係を大切にすること等、融資だけではなく、「教育」という要素が入るのが同国の金融の特徴である。このことは、BRACのマイクロファイナンス責任者へのインタビューからも明らかであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、バングラデシュ中央銀行総裁や、BRAC銀行のマネージャーや、世界最大のNGOであるBRACのマイクロファイナンスの責任者に対するインタビューを実施することができ、バングラデシュの状況を俯瞰的に把握することが出来た。また、BRAC銀行を通じて、現地の中小企業3社の経営者へのインタビューや、日本企業とバングラデシュ企業との合弁会社の経営者及び、従業員に対するインタビュー等、現場目線での調査活動も予定通り、実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の調査・研究を踏まえ、ソーシャルビジネスを「社会的課題の解決及び、自立経済に資するビジネス≒BOP(Base Of the Pyramid)ビジネス」と定義した場合、SMEの役割も無視できなくなったことから、同国の産業構造を含めた研究を行う必要性を感じている。こうしたことから、平成24年度は、産業構造との関連性や、経済の発展過程を含めた同国のSME研究と、金融機関のサポート体制(金融機関の役割)についても、研究対象に含めて行く。また、平成23年度の調査、研究で、バングラデシュのベースとなるデータの収集が、俯瞰的に行えたことから、平成24年度の調査、研究においては、バングラデシュ国内の研究者や専門家との情報交換を複数回実施し、体系的な考察を行っていく。国内研究においては、引き続き、山陰地方(島根県、鳥取県)の金融機関への調査や、地場産業経営者へのヒアリングを実施するとともに、あらたに秋田県も調査対象に含めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
バングラデシュ現地調査の為の交通費、及び現地での通訳等人件費が主なものである。また、国内研究においては、島根県、鳥取県、秋田県での現地調査の為の交通費が発生する予定である。また、次年度使用額(516,880円)が生じた理由は、交通費単価の差異と、現地滞在期間が短かったこと、更には現地でサポートしてくれた方々が、研究の意義を理解し、通常より安い料金で対応してくれたこと等によるものである。尚、次年度使用額については、24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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