2011 Fiscal Year Research-status Report
植民地期朝鮮における民衆支配秩序-朝鮮民衆・地域社会の動向を中心に-
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23510335
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 公一 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (20447585)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 韓国・朝鮮 / 秩序と心性 / 帝国と地域社会 |
Research Abstract |
近年の「帝国史」研究の成果をふまえ、従来、1930年代以降の植民地期朝鮮における「統合」政策が、地域や職域の二重に展開した戦争動員によって、朝鮮の地域社会を植民地権力の側に取り込むことが一定可能であったのは、「朝鮮民衆や社会が包摂されている帝国支配秩序」が「統合」を促す前提として存在したためである。本研究では、特にこうした「秩序」を当該期朝鮮の地域社会における「秩序」維持法令(植民地法令)の運用実態・適用事例や地域社会の対応事例を重点に発掘し、その様相を明らかにすることに独自性を見いだそうとする実証的な地域研究である。そのための資料調査・収集を国内外において実施する。 平成23年度においては、こうした「秩序」が垣間見える当該期の植民地朝鮮における地域社会での法令の運用や適用実態に関わる史資料の所在を調査・確認し、韓国ソウルでの資料調査・収集作業を実施した。そのことは植民地法令の朝鮮社会における適用事例や朝鮮民衆の対応をふまえた植民地期朝鮮における政治・社会の実相を明らかにする基礎作業とその整理として位置づくものである。 本年度の具体的な実績は次の通りである。1、韓国及び日本国内の図書館・文書館の目録・インターネットを利用して植民地法令関連資料の所在確認等の基礎調査を行った。2、韓国国家記録院ソウル情報センターなどで「日帝文書」における朝鮮総督府法務局関連利用の調査及び必要資料の収集及び保存を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度における研究進捗状況は芳しくなかった。具体的な理由は以下の通りである。1、平成23年8月の1回目の調査に引き続き、平成24年2月に韓国ソウルにおける2回目の資料調査を行うことにしていたが、渡韓直前に体調不良となり、急遽これを断念せざるを得なかった。2、国内における関連資料の所在を確認したが、上記の理由(体調不良)のため、実際に現地調査、資料収集を実施できなかった。3、新聞資料(地方版社会面)調査については、研究協力者を確保することができず、実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、本年度同様、ソウルでの資料調査に加えて、釜山・仁川などの地方都市所在の資料館・図書館における資料調査と収集に取り組む予定である。具体的には以下の通りである。1、地方関連(ソウル以外の釜山・仁川等の地方所在機関)の植民地法令適用事例資料の調査・収集作業を実施する。2、朝鮮地方史関係図書、日本の植民地研究、「帝国史」関係図書、朝鮮近代政治法制・社会史関係図書を充実させ、本研究に関連する研究の現況を把握する。3、本年度実施できなかった韓国での追加調査・収集を実施し、本年度の研究の遅れを取り戻す。加えて国内における資料調査・収集を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は以下の通りである。1、ソウルほか韓国内における公文書館・図書館・資料館・博物館等での関連資料の調査と収集および国内の公文書館・図書館・資料館・博物館等での関連資料の調査と収集のために、旅費、複写費、郵送費および消耗品費等を使用する。2、朝鮮地方史関係図書などの充実のために設備備品費を使用する。3、研究協力者が確保された場合、新聞資料調査に必要な謝金等を使用する。4、資料収集に必要なパソコン関連消耗品、デジタルカメラや資料整理に必要とされるファイル等の購入のために消耗品費を使用する。
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