2013 Fiscal Year Research-status Report
植民地期朝鮮における民衆支配秩序-朝鮮民衆・地域社会の動向を中心に-
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23510335
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 公一 追手門学院大学, 国際教養学部, 准教授 (20447585)
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Keywords | 韓国・朝鮮 / 地域社会 / 民衆 / 神社 |
Research Abstract |
(1)「帝国史」研究の成果をふまえ、従来、1930年代以降の植民地期朝鮮における「統合」政策が、地域や職域という二重の展開をした戦争動員によって、朝鮮社会や地域を植民地権力側に取り込むことを一定可能としたのは、「民衆や社会を包摂する帝国支配秩序」が「統合」を促す前提として存在していたためである。本研究では、こうした「秩序」を、当該期の地域社会における「秩序」維持法令の運用実態と朝鮮社会や民衆の対応事例に重点をおいて、あぶり出すことをねらいとした実証的な地域研究である。平成25年度においては、以下のような資料整理を行った。 (2)前年度、主に韓国の国家記録院にて収集した植民地期朝鮮おける地方行政関連史料の整理を行った。 (3)以上の調査の成果の一部として、「石川県立図書館所蔵小倉文庫の海外神社史料について」(追手門学院大学国際教養学部アジア学科編『アジアの都市と農村』和泉書院、2013年10月)を発表した。また、京都大学人文科学研究所の「戦時期朝鮮における諸相」研究会において、「戦時期朝鮮における神社研究の諸論点」を発表した。 (4)上記、研究の一環として、朝鮮史研究会関西部会7月例会にて、樋浦郷子著『神社・学校・植民地-逆機能する朝鮮支配-』(京都大学学術出版会、2013年)を書評し、本研究に関連する植民地期朝鮮における政治史研究の状況を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史資料の調査・収集作業は順調であるが、収集した史資料の整理と分析にやや遅れがある。そのため論文執筆という形での成果発表が遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成26年度においては、研究補助員を擁して、膨大な史資料の整理を早急に進めたい。 (2)史資料の整理を経て、研究成果の発表に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画は韓国における史料調査・収集を予定していたが、韓国における研究協力者の確保が出来ず、実施できなかった。この間、先行研究などの分析を通じて、植民地期朝鮮における地方社会の実態、分析法などの進展が著しいこともあり、こうした研究状況を再度検討・分析して、改めて研究の視角を再確認する必要に迫られた。これらの困難が生じたため、大幅に次年度使用額が生じた。 追加の史料調査の実施費用、収集史料の整理費用、あるいは研究成果物の発行費用などとして使用したいと考えている。
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