2013 Fiscal Year Research-status Report
現代ミャンマー農村における住民参加型森林資源管理の展開と村落の組織力に関する研究
Project/Area Number |
23510337
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
岡本 郁子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (00450487)
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Keywords | 資源管理 / 住民参加型 / ミャンマー |
Research Abstract |
本研究は、1990年代半ばに導入された住民参加型森林資源管理(コミュニティ・フォレストリー)に対するミャンマー農村社会の受容と対応を、村落の組織力の観点から解明することを目的としている。 この目的に則り、コミュニティ・フォレストリープログラムの主要対象地域である3つの地域(山間部のシャン州、ドライゾーンのマグエ地域、デルタのエーヤーワディ地域)およびサガイン地域での村落レベルでの実態調査を実施した。これらの調査においては、コミュニティ・フォレストリー導入の経緯や組織化過程、維持管理状況、組織力の基盤となる地域の社会構造の特徴をつかむべく、村落、または村落を越えた協同活動に関する聞き取りを実施した。 山間部とドライゾーンでは、村が中心となり資源と住民を組織するパターンが多いのに対し、デルタでは組織化という側面での村の役割は小さく、一種の受け皿として機能するにとどまっていた。この違いの背景にはそれぞれの地域の村落の歴史の長さと人口の流動性の違いがあると考えられる。一方で、ザガイン地域では導入当初村全体による管理が試みられたものの結果的に個人割当による管理に移行していた。マグエとはやや離れているとはいえザガイン地域は同じく上ミャンマーに含まれる。この両地域の相違が何に起因するのか、村の動員力以外の要因も加えて検討する必要あろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査計画に挙げていた地域に関しての調査はほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は広範囲でのミャンマー農村部の様々な組織化メカニズムを把握するために、山間部の異なる地域で村落レベルの実態調査を実施する。これまでのケースを含めて組織化の類型化とその組織化要因の析出を行い、最終成果としてまとめていく。 当初の計画では コミュニティ・フォレストリープログラムの参加世帯、非参加世帯の属性等の把握を目的に世帯調査を予定していた。しかし、現段階では世帯レベルでコミュニティフォレストリーから直接的に経済的便益を得ているケースはほとんどないため、詳細な世帯調査を通じて得られる示唆は少ないと判断した。 また、コミュニティ・フォレストリーを管轄する森林局行政官に対する調査も予定していたが、導入時から10数年経過している地域が多いなかで担当していた森林局行政官はすでに異動しているケースが多く、これも断念せざるを得なかった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に予定していた現地調査(1回分)が調査許可等の問題から実施できず、その分がこれまで繰り越されてきていることが主な要因である。 村落調査に主に使用する。また、所属機関が変更になったことで研究遂行のための新たな備品を購入する必要があるためそれに使用する。
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