2012 Fiscal Year Research-status Report
性差に基づいた自己免疫性肝炎の発症と肝内樹状細胞との関連性について
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23510345
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
富山 智香子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80359702)
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Keywords | 肝樹状細胞 / 自己免疫性肝炎 / 17β-estradiol / CD274 / IL-12 / 免疫調節 |
Research Abstract |
自己免疫性肝炎は他の自己免疫性疾患と同様、罹患者は女性に多く、好発年齢は日本においては50~60歳代と女性ホルモンの低下する年代である。一方、罹患者における妊娠中の軽快例もあるため、本疾患の病態と女性ホルモンとの関連性は深い。しかし、女性ホルモンによる免疫学的調節作用について不明な点が多く、未だ解明には至っていない。そこで、本研究は免疫応答を調節する樹状細胞に焦点を当てて、自己免疫性肝炎モデルマウスを用いて、女性ホルモン17β-estradiolが標的臓器の肝臓内樹状細胞に与える影響と自己免疫性肝炎の肝障害との関連性を明らかにすることを目的としている。 当該年度は、17β-estradiolの自己免疫性肝炎モデルマウスの肝障害抑制機構と肝内樹状細胞の分画変化との関連性について検討を行った。その結果、17β-estradiol投与により自己免疫性肝炎の肝障害が抑制されたマウス肝内に骨髄系樹状細胞及び形質細胞様樹状細胞が増加し、前者の方が顕著であった。これら両樹状細胞上にCD274(PD-L1)の発現増強を認めた。また、血清中のサイトカイン産生については、17β-estradiol投与によりIL-12の抑制を認めた。 以上の結果から、17β-estradiolによりCD274陽性樹状細胞が自己免疫性肝炎の標的臓器である肝臓内に増加し、これによりIL-12の産生抑制機構が働いてNKT細胞の細胞傷害活性が抑えられた可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度はエストロゲン存在下における自己免疫性肝炎マウスの樹状細胞の性状変化について追究し、研究実績の概要通り一定の成果を得た。平成23,24年度は生体内での直接のエストロゲンの効果を測るために当該研究でのin vivo実験を優先させたが、解析量の多さにより若干の計画進行が遅れている。しかし、in vivo実験はおおむね終了しているため、最終年度である平成25年度は実験的低エストロゲンマウスでの自己免疫性肝炎の肝障害の程度の検討及びin vitroでの樹状細胞のへのエストロゲンの影響を検討する予定である。既に前者は、当該動物実験施設の協力により実験準備が整っている。in vitroでの樹状細胞のへのエストロゲンの影響の検討にはすでに試薬等の準備も整っているため、当該年度で全データを取り終えることが可能である。論文作成に関しては、連携研究者との情報交換を密にすることにより効率化を図る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実験的低エストロゲンマウスでの自己免疫性肝炎の肝障害の程度の検討及びin vitroでの樹状細胞のへのエストロゲンの影響については大学院生と共に追究し、また、論文作成については連携研究者や大学院生と共に作業分担して効率化を図り推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の早い時期にフローサイトメトリーのデータ解析ソフトをもう1件購入して解析の効率化をさらに図る。また、性状解析に必要な抗体は既に揃っており現在使用中であるが、今後、解析に必要な抗体の不足分や樹状細胞の機能解析用の試薬(例:CFSE, CBA kitなど)を順次購入する計画である。
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