2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23510346
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
大谷 昌弘 福井大学, 医学部, 助教 (20372500)
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Keywords | 胃癌 / ラロキシフェン / ヘリコバクターピロリ / エストロゲン / 性差医療 |
Research Abstract |
【研究目的】胃癌罹患率には性差が認められ、男性の方が有意に高いとされており、疫学的研究においても女性ホルモンが胃癌発症に対し予防的に作用する可能性が示唆されている。これまでにINS-GASマウスモデルにおいてエストロゲンによる胃発癌抑制効果が確認されており、今回は選択的エストロゲン受容体モジュレーターの1種であるラロキシフェン(RAL)を用いて、胃癌発症の抑制効果について検討した。 【方法】雄INS-GASマウスに対して、ヘリコバクターピロリ菌感染を生後10週に行い、引き続きRALは皮下埋め込みペレットを用いて、1日当たり100μgを180日に渡って投与を行い、対照群も作成してマウスを4群に分けて動物実験を行った(①非感染対照群、②非感染RAL投与群、③HP感染群、④HP感染RAL投与群)。RAL投与終了時に各群の解剖を行い解析した。 【結果】各群間においてマウスの体重に差は認められなかった。病理組織学的検討ではHP感染群は非感染対照群と比較して胃粘膜の炎症やdysplasiaが高度であった。一方、HP感染RAL投与群はHP感染群と比較して胃粘膜の炎症やdysplasiaが抑制される傾向にあった。胃組織におけるTNF-αのmRNAレベルを測定したところ、HP感染RAL投与群はHP感染群と比較して低い傾向があった。また、非感染RAL投与群と非感染対照群と比較では非感染RAL投与群におけるTNF-αレベルは有意に低値であった。 【結果】RALは動物実験モデルにおいて、胃炎に対し抗炎症性に作用し、その結果、胃発癌において予防的に作用する可能性が示唆された。
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