2011 Fiscal Year Research-status Report
看護職の人間の性に対する認識を高める教育支援プログラムの開発と運用に関する研究
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23510351
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
兼宗 美幸 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (50214490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑後 幸恵 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (60310512)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | セクシュアリティ / ジェンダー / 看護職 / 教育支援プログラム / 性の認識 |
Research Abstract |
本研究は、患者の尊厳を尊重した援助を実践する看護職の継続教育の方策について、特に性の認識に焦点をあて、ジェンダーやセクシュアリティなど「人間の性」と看護実践の関連、「患者の性」に対する倫理的問題の対応および看護職のキャリア形成の視点から作成した教育支援プログラム(以下試行版プログラムと略す)を実施・検討し、実効性のある継続教育プログラムとして開発することを目的としている。 初年度の2011年度は、過去の研究成果を踏まえ、臨床看護師の協力を得て試行版プログラムを実施し、評価データからプログラムを検討し、改善することを計画した。 課題1「試行版プログラムの実施と評価データの収集」 協力の得られた保健医療福祉施設で、倫理的配慮を踏まえて研究参加の承諾を得た男女看護師5名に研究の目的・方法や倫理的配慮を口頭・書面で説明し、署名と参加の意思表明によって同意を得た。試行版プログラム実施前後に個人に対し質問紙調査、実施後にグループインタビュー法によるインタビューを行い、評価データとした。それらから、プログラムの内容(経験に近い題材や専門的な情報提供)だけでなく、状況に合わせて参加者の語りを促し、ディスカッションを深める方法が、性の認識を高める大きな要因であることがわかった。 課題2「試行版プログラムの検討と改善」 得られたデータを元に、患者の尊厳の尊重、患者の性に関する倫理的問題への分析、個人および看護職としての経験などに着目してプログラムを検討し、研修の手引き「人間の性に関する倫理的な課題と看護―臨床看護師の生涯学習編―」を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度の計画では、臨床看護師を対象に看護職の「人間の性」に対する認識を高める教育支援プログラム(以下試行版プログラムと略す)を実施すること、参加した臨床看護師からプログラムの評価に関するデータを収集すること、そのデータに基づいて試行版プログラムを検討し改善すること、の3点が課題であった。2011年度にその3点について実施することができたため進行は順調である。 しかし、試行版プログラムを複数回実施すること、試行版プログラムによる性の認識の変化に影響を与えると考えられる要因(年齢、臨床経験、ジェンダーやセクシュアリティ、倫理的問題への対応、性別など)を調整して参加者を構成すること、試行版プログラムの方法を検討して改善することは達成していない。そのため達成の程度をおおむね順調と評価した。 なお、試行版プログラムの運用には多大な労力と時間を要し、効果はあるが効率の点では評価が低い研修プログラムとなるため、効率の良い運用に関しても検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度以降は、施設で実効性のある看護職の「人間の性」に対する認識を高める教育支援プログラムを開発し、その運用方法を検討する計画である。 そのためにも2011年度に実施できなかった試行版プログラムの複数回実施、試行版プログラムによる性の認識の変化に影響を与えると考えられる要因(年齢、性別、臨床経験、ジェンダーやセクシュアリティ、性のイメージ、倫理的問題への対応、など)を調整して参加者を構成すること、試行版プログラムの方法を検討して改善することを実施する計画である。 それに合わせて、改善したプログラムの実施と評価を行う。構成を調整した参加者で、継続して実施し、統一された「研修の手引き」の内容で実施するなど、運用やプログラムの推進方法に焦点をあてて検討できるよう計画したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、今年度に試行版プログラムを複数回実施できなかったために生じた次年度の使用額分も合わせた額面で、計画した研究内容をもとに使用する。 次年度は、試行版プログラムを複数の施設に出向いて(研究者の旅費)、看護職の責任者に説明(資料の印刷費)し、承諾が得られた施設に依頼して実施する。開始前には参加者に再度説明(資料の印刷(研究計画書、説明書、承諾書、資料、調査票))し、承諾を得た後に、プログラムを実施する(参加者への謝礼)。 プログラム内でのディスカッションは逐語録におこし(役務費)、専門的知見を持つ方にスーパーバイスを得ながら(専門家への謝金)、内容分析を行う。それらの結果は学会で発表(負担金による学会参加費、学会参加用の旅費や宿泊費)を行う。学会発表を通して多様な分析の視点を得ながら、さらにデータの分析を進める。 それらの成果をもとに、試行版プログラムの内容や方法を検討し、専門的な情報や事例等をレイアウト等を整えながら追加・修正した(研修資料デザイン費、デザイン用ソフト物品費)修正版プログラムを印刷(研修資料印刷費)し、資料や研修プログラムの充実を目指す。
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Research Products
(2 results)