2013 Fiscal Year Research-status Report
定言命法の体系とその実現のための技術的仮言命法の創出に関する研究
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23520010
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
小野原 雅夫 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70261716)
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Keywords | カント / 実践哲学体系 / 定言命法 / 法・政治哲学 / 実質的倫理学 / 仮言命法 / 市民参加 / 哲学カフェ |
Research Abstract |
研究目的のうちの『人倫の形而上学』を「定言命法の体系」として読み解いていくという部分に関しては、博士論文指導教員に当たる法政大学の牧野英二教授のもとで指導を受けながら、全体の構成について詰めていった。全体構成に関する当初の計画を若干修正したり、訳語の選定の変更や、既発表論文をどのように手直しして繋げていくかなど、細かい最終調整の段階に入っている。また、前年度に執筆した「《徳の定言命法》の体系」の部分について手直しをした上で、学内の紀要論文として発表した。 研究目的の後半部分、定言命法を実現するための技術的仮言命法を現実の社会の中で開発していくという部分に関しては、初年度より継続的に月1回のペースで「てつがくカフェ@ふくしま」を開催し続けている。本年度は、地域の文化発信スペースとして名高い映画館「フォーラム福島」と提携して「シネマdeてつがくカフェ」を開催することができた。映画『ハンナ・アーレント』を題材とした「シネマdeてつがくカフェ」には100名近くの参加者が集い、これまでになく大きなムーブメントとなった。また静岡で「てつがくカフェ@しぞ~か」を立ちあげようとしていた人々に招かれ設立記念講演を行った。また、3月15日には「てつがくカフェ@ふくしま特別編4」として、原発問題を扱って多くの一般市民と対話の場を設定することができた。また、参加者への聞き取り調査なども開始した。 さらに研究目的の後半部分に関しては「てつがくカフェ」という社会的実践ばかりでなく、理論的研究も進めることができた。日本カント協会の公開シンポジウム「カントと日本国憲法」において、「日本国憲法における定言命法と仮言命法」と題する提題発表を行い、カント研究者や憲法学者と議論を交わすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の前半部分と後半部分に分け、当初の計画では最初の2年間で前半部分を終了し、後半部分に関しては最初の2年間は準備期間と位置づけ、後半の2年でそちらを本格的に始動させる予定であったが、実際には前半部分と後半部分を同時並行的に進めていくことになった。そのように計画を立て直してからは、おおむね順調に進展していると思われる。研究期間の3/4を終えたところで、後半部分に関しては当初考えていたよりもはるかに先を進んでおり、前半部分に関しても期間内に研究を終える目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の後半部分に関しては、これまで通り「てつがくカフェ@ふくしま」を月に1回のペースで開催していくとともに、フォーラム福島など地域の諸団体との連携を深めていく。参加者への聞き取り調査の結果も踏まえながら、この試みの有効性を検証していく。それらを手がかりに、定言命法を実現するための技術的仮言命法に関する理論的研究をさらに充実させていく。 研究目的の前半部分に関しては、細かい手直しなどの最終調整を行っていく。引き続き牧野教授に指導を受けるとともに、日本カント協会や日本倫理学会、カント研究会等々の場で発表し専門家諸氏からの理論的検討を受けていきたい。
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