2012 Fiscal Year Research-status Report
現象学的倫理学としてのミュンヘン・ゲッティンゲン学派の研究
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23520030
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
吉川 孝 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20453219)
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Keywords | 現象学 / 倫理学 / 哲学 / 行為 / 感情 / 生き方 / 価値 / 責任 |
Research Abstract |
本年度は、著書『生きることに責任はあるのか 現象学的倫理学の試み』(吉川孝、横地徳広、池田喬編著、弘前大学出版会、2012年、全305頁)を公刊することができた。この著作は、現象学的倫理学の立場から、責任と生とをめぐる思考の可能性を探った論集になっている。現象学的倫理学の系譜のなかに見いだされる倫理学的思考の可能性を明らかにするため、責任というトピックをめぐって、独仏の現象学者(フッサール、シェーラー、ハイデガー、メルロ=ポンティ、レヴィナス)と日本の哲学者(西田幾多郎、田辺元、和辻哲郎、九鬼周造、三木清)とを比較考察している。吉川は編者として全体の企画にかかわったほか、「第1章 ケアする存在の自己責任 フッサールの『改造』論文における「革新」の倫理学」「第7章 世界・国家・懺悔 田辺哲学の現象学的解釈」「終章 いまなぜ現象学的倫理学なのか?」の執筆を担当している。このほかに、日本現象学会第34回研究大会において「使命感と合理性――フッサールにおけるアイデンティティの倫理学」を発表することができた。 これらの研究成果は、いずれも現象学的倫理学の全体像を明らかにする試みになっている。とりわけ、著作においては、独仏の現象学と同時代の日本の哲学にまで射程を広げながら、包括的な現象学的倫理学の全体像を描きだすことができた。このような試みは珍しく、共同研究の成果として、高い価値をもっている。終章では、現象学的倫理学の現代的意義を、徳倫理やケアの倫理との関連づけながら明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、著書『生きることに責任はあるのか 現象学的倫理学の試み』(吉川孝、横地徳広、池田喬編著、弘前大学出版会、2012年、全305頁)を公刊することができた。現象学的倫理学の全体像を明らかにすることで、本研究の最大の目標が達せられたことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、現象学的倫理学の全体像を明らかにする研究を遂行する。とりわけ、M・シェーラーの倫理学の現代的意義を明らかにする研究を行い、研究の締めくくりとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年の5月(東京)と7月(大阪)に研究発表の予定が入ったため、次年度に使用することにした。次年度使用分は、研究発表の旅費に充てることになる。
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Research Products
(3 results)