2012 Fiscal Year Research-status Report
「情動的言語使用」の哲学-ニーチェと/の「コミュニケーション理論」
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23520032
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
齋藤 直樹 盛岡大学, 文学部, 准教授 (90513664)
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Keywords | 哲学 / 言語 / 情動性 / ニーチェ / フランクフルト学派 / 批判理論 |
Research Abstract |
今年度はまず、初期ニーチェが「悲劇論」を形成する過程で残した遺稿群の中に見いだされる言語論を新たに取り上げ、これを、後期「身体的情動性の現象学」に焦点を絞って論究を進めた前年度の研究成果から遡行的に評価することを通じて、ニーチェ思想全体を視野におさめた彼独自の「言語論」を体系的に取りまとめた。 次いで、前年度に詳細に論究したアクセル・ホネットの「承認論」の理論的射程と限界を評価するために、彼の議論の土台をなしているチャールズ・テイラーの「アイデンティティの相互承認論」を改めて取り上げ、そこに見いだされる言語をめぐる独特の観点を析出した。これによって、テイラーとニーチェの言語観の親近性を理論的に明らかにし、ニーチェの言語論と「コミュニケーション理論」の接点を提示する土台を確保すると共に、情動的言語使用をめぐる新たな問題圏の輪郭を明らかにした。 加えて、ニーチェあるいは「情動性」をめぐる現代的議論の展開を包括的に論じたRichard Bernstein の大著 Radical Evil, A Philospphical Interrogation, 2002.を詳細に検討するとともに、その成果を翻訳書として公刊した。とりわけ、彼が論じたフロイトの「欲動論」についてはより具体的に論究を進め、ニーチェ思想とフランクフルト学派の理論的接続を目指す本研究の方向性を補強しうる新たな観点が獲得された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に実行することを計画していた、初期ニーチェの言語論の体系的再構築、ならびに、チャールズ・テイラーの「アイデンティティ論」に関する言語哲学的論究をおおむね予定通り遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ニーチェ、ならびにハーバーマス・ホネット・テイラーらフランクフルト学派(あるいはそれに関連する思想家)に関する前年度までの研究成果を取りまとめながら、「情動的言語使用」をめぐる問題系を体系的に提示するとともに、ニーチェ言語論が持つ現代的な意義を独自の視点から明らかにしていく。 さらに、身体的情動性への定位を軸としたニーチェの思索を、より広く「自然主義」の文脈に位置づけながら、その哲学的意義に関する考察を発展的に深めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度と同様に、ニーチェならびにフランクフルト学派、加えて言語論に関連する専門的な邦文・欧文文献を包括的に収集する。さらに、研究成果を検討するための学会・研究会に参加するための旅費を捻出する。
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