2011 Fiscal Year Research-status Report
論理哲学の学際研究ー直観主義論理の推論・証明理論を中心として
| Project/Area Number |
23520036
|
|---|
| Research Institution | Keio University |
|---|
Principal Investigator |
岡田 光弘 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30224025)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
| Keywords | 論理哲学 / 直観主義 / 直観主義論理 / 論理学 / 線形論理 / 証明論 / フッサールの論理 / 国際情報交流 |
|---|
| Research Abstract |
直観主義論理の基礎構造を線形論理や部分構図論理と呼ばれるより基本的な論理構造で捉え直す試みは先行研究のいくつかで既になされてきたが、本研究においては線形論理（および部分構造論理）より基底的な、単純論理（Simple Logic）と本研究代表者が呼ぶ論理推論体系から通常直観主義論理構造を構築する手法を発展させた。これにより、直観主義論理の意味論と構文論に新しい視点が得られつつある。単純なクリプキ型意味論からどのように直観主義論理の意味論が構築されるかや、単純な線形論理の部分推論体系からゲーデル様相解釈を経て、どのように直観主義論理の証明論が構築されるかが新しい視点から解明されつつある。また、この応用として、ゲーデル＝コルモゴロㇷ２重否定解釈をこの単純論理に適用することにより、分析プラグマティズム分野で知られている論理意味論をより根底的な論理構造で捉え直すことができることを明らかにした。直観主義論理の認知科学的研究も進展させた。特に、空間表象を用いた図的論理推論に関して、直観主義論理的特徴を持つオイラー図推論と古典論理的特徴を持つベン図推論を比較し、オイラー図推論に対する証明論、意味論、認知プロセスモデルを理論と認知心理実験の両面で研究した。成果は２つの国際学術雑誌や国際会合などで公開した。直観主義論理の論理哲学的研究と深い関わりのある論理哲学研究も進めた。フッサールのゲッチンゲン講義（1901年）を中心とするフッサールの数学の哲学、中期ウィット言シュタインの数学の哲学などの研究に大きな成果があり、一部は成果の公開、刊行を始めた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
１．直観主義論理の基礎構造を線形論理よりもより基底的な論理構造から構築する、という点で大きな進展が得られた。また、これに伴い、直観主義論理の証明論及び意味論に新たな視点を与えつつある。またこの応用として、この単純論理推論体系にゲーデル＝コルモゴロフ２重否定解釈を適用して、分析プラグマティズムの論理意味論部分に新しい線形論理的視点を与えた。２．直観主義論理を中心に、認知推論研究を進め、特に図的外的表象による論理推論に関して、意味論、証明論、認知科学的実験を含めた統合的研究を行い、多くの成果を得た。３ウィトゲンシュタイン、フッサール、ヒルベルトなどの論理哲学・数学の哲学の研究を進め、同時代のブラウアーら直観主義学派の思想や方法論との比較を行い、成果が上がった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
上記１、２、３のテーマに対して前年度の成果を踏まえつつ、さらに研究を発展させる。特に、我々が単純論理と呼ぶ基本的論理構造から種々の既存の論理体系の構造（線形論理や直観主義論理や古典論理をはじめとする構造）がどのように構成されるかを様相概念などの手法を用いて示すと同時に、論理的意味論の系統的理解を与える。また、オイラー図を直観主義論理の立場から改訂して、改訂オイラー図推論とベン図推論を直観主義推論と古典論理推論の空間表象的推論体系という観点から比較する。前年度の成果を踏まえて、フッサールの論理、ウィトゲンシュタインの算術の哲学、ヒルベルトの論理哲学を直観主義論理哲学と比較する。これらを統一的に捉える新しい観点を提示することを目指す。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究計画の遂行のため、研究資料購入、研究資料整理人件費を計上する。本研究の中間成果公開とそのことを通じて海外専門家達から批判や評価を受けるため、海外学会、研究会出張を行う。また、本研究課題の海外協力者達との共同研究を進めるため、招聘または協力者所属大学に短期滞在する。
|
Research Products
(6 results)
