2014 Fiscal Year Annual Research Report
フェミニンの哲学とケアロジー 「女/母(わたし)」の視座から
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23520041
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
金井 淑子 立正大学, 文学部, 教授 (50152773)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | フェミニン / ジェンダー / ナラティヴ / ケア / 身体性 / ケアロジー / 女/母(わたし) / ヴァルネラビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の哲学思想研究の場面に、「フェミニンの哲学」を提案し、そこから「人間存在のヴァルネラビリティに根ざした〈ケアロジー〉」の研究領域の創生を目指すものである。まずケア論・研究に流れ込む現在の多様な文脈からの知の動きを一つの自立的な研究領域にネットワーク化するところに「ケアロジー」を立て、さらにそこに、哲学・倫理学研究の視座から思想的理念的基礎付けを図ることによって、ケアへの議論のまなざしをより深い射程へと差し向けている。その先に「ケアロジー」を「人間存在のヴァルネラビリティ(傷つきやすさ・弱さ)」の原点に立って構築し、ケアのテーマに、「自己の自己へのケア」さらに「記憶のケア」の視点を拓こうとするものである。「フェミニンの哲学」については、「女/母(わたし)」の一人称を立てるところから、近代的価値の世界に対抗する外部の視点、被害者の視点、差異の感覚、身体感覚といった立場でものを考えることができる知的感受性のあり方を模索し、ナラティブ理論や質的心理学研究さらにトラウマティック・ストレス研究などの臨床学的知見に踏み込み、「ナラティブ/トラウマ・アプローチ」の理論パラダイムの提示にも及ぶこととなった。 計画年度内で、著書2冊、編著2冊の刊行と、論文8編(うち査読付き5本)を成果報告とすることとなった。さらに共著2冊、論文1本についても、7月末刊行予定で作業は進行している。これらの成果報告を総括的に単著化企画(『フェミニンの哲学とケアロジー』ナカニシヤ出版)としてまとめあげることについては、計画年度を越す形になるが、平成27年9月までに書下ろし「〈ジェンダーとフェミニンの哲学〉と〈フェミニンの哲学とケアロジー〉の間」を完成させ、その脱稿をもって、年度内に最終的な単著刊行による成果報告とすべく鋭意進めているところである。
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Research Products
(6 results)