2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520046
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
米虫 正巳 関西学院大学, 文学部, 教授 (10283706)
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Keywords | フランス科学認識論 / フランス現象学 |
Research Abstract |
平成24年度は、現代において生命・技術・文化を包括することのできる「自然」概念が、哲学においていかにして可能となるのかという課題に答えるべく、20世紀以降のフランス哲学、とりわけフランス現象学とフランス科学認識論の成果をふまえつつ、平成23年度の研究を引き継ぐ形で継続的な研究を行なった。前者のフランス現象学に関しては、ミシェル・アンリの「生の現象学」を考察の対象として取り上げ、生(生命)の概念に立脚するその現象学が、技術と文化を基礎づけるべきものとして生を位置づけていることに着目し、その生の概念を、アンリに対して批判的なフッサールやハイデガーの後継者たちのアンリ批判との関係の中で検討することによって、その概念の射程を明らかにするとともに、この「生」が同時に技術と文化を基礎づける「場所」として位置づけられるべきものであることを導きだした。後者のフランス科学認識論に関しては、ミシェル・フーコー、ジョルジュ・カンギレム、ジルベール・シモンドンらの哲学を取り上げると同時に、これらの哲学に密接に寄り添う形で形成されたジル・ドゥルーズの哲学に着目し、これら哲学間の交錯から、双方に共通して見られる以下の主題、すなわち哲学と科学の区別、言語的次元と非言語的次元の差異、そして関係項に先行する関係のあり方をめぐる議論を取り出すとともに、それらの議論に通底する独特の論理、つまり二つの次元を分つとともに、まさにそのことによって二つの次元には還元不可能な二つの時限の間の「境界」という概念こそが根本的なものであり、さらにその境界こそが個体でも個体の集合でもない「自然」の概念を構成する不可欠な構成要素であると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生命・技術・文化を包括することのできる「自然」概念の探究に関して、生命に関しては研究の進展は概ね当初の予定通りであったが、他の二つの要素である技術と文化に関しては、当初の予定と比べるならばその進展は十分なものとは言い難い。両者に関して必要となるはずの、化学と人類学に関する哲学的考察を進めるための資料収集や調査をフランスで進めることができなかったのが、その原因の一つであり、それは近親者の死やそれに伴う諸々の手続きの処理のため、研究に必要な時間が十分には確保できず、またフランスでの調査の日程が取れなかったことによるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成25年度は、過去2年間の研究成果を包括・総合し、さらにそれをより発展させた形で最終的に完成した研究結果を残すことが求められる。そのため、これまでの研究を継続するとともに、進展の遅れている部門の研究をより速やかに推進することを心がけつつ、研究を遂行する。研究の遅れを取り戻すために、平成25年度はとりわけ、複数の外国人研究者との共同研究や研究交流をこれまで以上に行なうことを予定しており、そのことにより、単に遅れを取り戻すだけではなく、よりいっそう速やかに研究を推進させることが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中心となるのは、物品費、旅費、謝金である。物品費に関しては、従来通り、研究に必要不可欠な図書や資料の購入に充てる予定である。旅費に関しては、8月下旬から9月上旬にかけてと、3月中旬にかけての、計2回のフランス国立図書館その他での資料調査、およびフランス人研究者との共同研究と研究交流を予定している。また謝金に関しては、来日予定の複数のフランス人研究者を招いてのシンポジウムやセミナー、講演などを企画している。
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Research Products
(3 results)