2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神塚 淑子 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (20126030)
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Keywords | 中国哲学 / 道教 / 霊宝経 / 敦煌写本 / 陸修静 |
Research Abstract |
最終年度にあたる平成25年度においては、次のような研究を行った。 1.敦煌写本『太上霊宝洗浴身心経』(スタイン3380、ペリオ2402、北京図書館蔵本14523.2)についての詳細な研究を行い、仏典『温室経』との比較検討と六朝隋唐道教思想史における本写本の意義を中心に論述した論文を著した。 2.京都国立博物館所蔵の2点の道教関係の写本、『太上業報因縁経』巻第八(京都252)と『太上洞玄霊宝妙経衆篇序章』(京都253)について考察し、六朝学術学会第27回例会(平成25年12月7日、於愛知大学)で口頭発表を行った。2点の写本のうち、特に、後者の写本について詳しく検討した。これは以前からその真偽問題について議論のある写本であるが、その内容そのものは、六朝道教における「経」と序」の観念を探る上で貴重なものである。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、長年、中国において道教関係の敦煌写本の研究に従事してこられた王{上下}氏(中国社会科学院世界宗教研究所道教研究室主任)を日本に招聘し、名古屋大学において小規のシンポジウムを開催し(平成24年3月)、あわせて、氏とともに、国立国会図書館等、日本国内の機関に所蔵する道教関係の敦煌写本を閲覧調査し、新たな発見があったことが挙げられる。このことについては、平成24年度に著した論文に述べた。その他、上記の今年度の成果がある。交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」のうち、道教関係の敦煌写本を通して霊宝経の成立と発展に対して仏教が与えた影響を考えるという点や、国際的な共同研究を実施するという点では一定の成果を収めることができたと思われる。
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