2011 Fiscal Year Research-status Report
中世タミル語の聖徒列伝『ペリヤ・プラーナム』の批判的翻訳と文学的・思想史的研究
Project/Area Number |
23520062
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 博司 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20230427)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | ヒンドゥー教 / タミルナードゥ / バクティ / 聖者 / 聖徒列伝 / タミル語 |
Research Abstract |
開始年度として、次年度以降の研究活動を円滑に進めための基本作業に従事した。インターネットやデータベースによる情報収集と、メールやEMS便での印度側協力者たちとの意見交換・情報交換を経て、インド・チェンナイ市を訪れ、マドラス大学にて協力者と面会した。今後の進め方について協議を行った。タミルナードゥ中部のマイラードゥドゥライを訪れ、ティルヴァードゥドゥライ・アーディーナム(シヴァ派僧院)で、質的に最も信頼性が高く研究対象文献の底本として想定しているCekkilar Peruman aruliya Periya Puranam ena valankum Tiruttontar Puranam (Tiruvavatuturai: Tirukkayilaya Paramparait Tiruvavatuturai Atinam, 1988)の改訂版を入手する計画であったが、タミルナードゥ州の中部~南部にかけて台風(サイクロン)が直撃し、危険を伴うため赴くことが出来なかった。タンジャーヴール市のタミル大学に赴き、T. N. Ramachandran編の St. Sekkizhar's Periya Puranam(Tanjavur: Tamil University, 1990)の欠巻を入手する。後者は対象作品の抄訳であり、批判的に訳出作業の参考に供する予定も会ったが、同様の理由から断念せざるを得なかった。しかしながら、チェンナイ滞在を最大限に活用し、旧版によって最大限の作業を進め得たのは収穫であった。 重要度・完成度の高い伝奇から優先的に訳出する方針を立て、63名の中から重要な聖徒を選択し、順位付け作業を行宇ことに着実な進捗を見たことを付記しておきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表者は南インド・タミルナードゥ州チェンナイ市においてインド側協力者と直接情報交換をし得たことは何よりの収穫だが、その後の天候不順(台風襲来)によってタミルナードゥ州を南下する計画をくじかれ、底本にする予定の最新バージョンの入手・購入ができなかったことは初年度として惜しまれる結果となった。しかしながら、チェンアイ滞在が予定より長めになった分、協力者と綿密に打合せを行い、翻訳作業に向けて63名の聖者を順位付けする作業に十分な時間を充て得たことで、来年度以降の作業を先取りするというかたちに結実し得たことは幸いであった。全体的には、やや進捗に遅れが生じている程度で、次年度以降の集中作業によって十分に挽回し得るものと考えており、今後の進捗や研究目的の達成に特段の問題はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず底本とする予定の最新版を速やかに入手するとともに、重要度・完成度の高い伝奇から優先的に訳出する方針を立て、63名の中から重要な聖徒を選択し、順位付けを確定し、試訳作業を開始することが先決となる。(順位付け作業は、万一全訳が完成できない場合でも、それらのみでも作品の概要が示せるようにとの配慮からである。)底本を入手・確定して以降は、必要に応じて補助者を使い、収集した資料の同定作業とデジタルデータ化を行い、重要度の高い部分から順次訳出作業に移行していく予定である。年に1度チェンナイのマドラス大学を訪れて、協力者と密に意見交換・情報交換を行う徒ともに、読解の補助なども行ってもらうことになる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インド・タミルナードゥ州チェンナイ市のマドラス大学で3者間で進捗状況を確認するとともに、州南部のマイルアードゥドゥライのマット(シヴァ教の僧院)およびタンジャーヴールのタミル大学に赴いて底本等の収集に当たる必要から海外旅費を要する。試訳作業の開始のため、パーソナルコンピュータ関連の支出が必要となる。収集した資料の確認とデジタル化等の作業のため、補助者への謝金支払いの必要が生じる。国内機関での資料収集に国内旅費が必要である。
|