2013 Fiscal Year Research-status Report
中世タミル語の聖徒列伝『ペリヤ・プラーナム』の批判的翻訳と文学的・思想史的研究
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23520062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 博司 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20230427)
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Keywords | ヒンドゥー教 / タミルナードゥ / タミル語 / 聖徒列伝 / ペリヤ・プラーナム / ティルッ・トンダル・プラーナム / バクティ |
Research Abstract |
本研究計画は、南インド・タミル地方における バクティ的なヒンドゥー教の流布と拡大に多大なインパクトを与えた聖徒列伝(ハギオグラフィ)『ティルッ・トンダル・プラーナ』(俗に『ペリヤ・プラーナム』とも)の和訳作業と作品の宗教史的および文学的研究である。平成24年度まで本格的に討究を進めるための基礎的な段階と位置づけ、関連文献・資料の収集を含む作業を蓄積してきた。平成25年度からは具体的な部分の翻訳をともなう本研究の段階に至っている。 平成25年度は全63名のナーヤンマール(ナーヤナール)を、研究書や二次資料等を参照しつつ宗教史上および説話内容上での順位つけを施し、上位から順に各説話内容を要約するなどの作業をおこなった。さらに、上位んぼ重要度を有するグループに属する代表的な説話につき、順次タミル語原典から翻訳する机上の作業に従事した。インドに出張して、協力者の助言を仰ぎつつ暫定訳のチェックを行って訳文の正確を期すとともに、 バクティ関連の新資料などの入手にも務めた。平成24年度末に入稿した関連の論攷(辛島昇先生編でオックスフォード大学出版局から出版予定の歴史研究書に寄稿)につき、査読者からの指摘に沿って事実関係を精査しつつ記述の訂正等の作業もおこなった。 以上の作業に終始したことで、成果発表としては、平成25年度に限れば公開した具体的な研究成果は現れていないが、平成26年度には、ここに至るまでの成果を学会発表する計画である。また、平成26年度中に出版される計画になっているインド思想の概説書(単著)を執筆しており、その中に本研究計画の研究成果を随時盛り込んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中世タミル語文献の読解は、それ自体言語的に難解なのに加え、タミル語で著された註釈文献にも注意を払いながら読み進めていく必要があるのと、校務等による研究時間の確保・工面等、研究環境上の問題も重なって、当初の目算より進捗がやや遅れ気味なのは否定できない。また、平成24年度までの基礎段階の準備作業が平成25年にも若干ずれ込んでしまい、そのぶん平成25年度で進めるべき作業に支障を来したことも否めない。 これらの要因によって、全体の進捗に多少の遅延が生じたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のような要因から生じた若干の遅延は軽微なもので、研究計画全体の達成を左右するような致命的なものではまったくなく、平成26年度以降の研究作業の効率化によって持ち直すことがじゅうぶんに可能な範囲にものである。ここに至るまでの反省も踏まえつつ、スピードアップしながら翻訳作業および研究作業にあたる。訳出作業のほうも軌道に乗りつつあるので、今後は順調に進捗するものと考えている。
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Research Products
(3 results)