2012 Fiscal Year Research-status Report
『大乗四論玄義記』と『大乗玄論』との比較に基づく中国南朝仏教学の研究
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23520069
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
菅野 博史 創価大学, 文学部, 教授 (50204805)
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Keywords | 『大乗四論玄義記』 / 仏性 / 南朝仏教学 / 『大乗玄論』 / 慧均 / 吉蔵 / 三論宗 |
Research Abstract |
1. 『大乗四論玄義記』「仏性義」の訓読訳はすでに終了したので、さらに内容の正確な理解を求めて、現代語訳と注釈を進めた。 2. 『大乗四論玄義記』「仏性義」の現代語訳の研究をもとに、第63回日本印度学仏教 学会(鶴見大学、2012.6.30)において、「『大乗四論玄義記』「仏性義」の基礎的研究」と題して研究発表を行った。そして、2篇の論文、「『大乗四論玄義記』「仏性義」の「第二釈名」の分析」(『印度学仏教学研究』61-1,2012.12,pp.471-464L)、「『大乗四論玄義記』「仏性義」の「第二釈名」について」(『創価大学人文論集』25,2013.3,pp. 47-71)を刊行した。 3. 南北朝の仏教学と関連の深い『法華玄義』の訳注を進め、『新国訳大蔵経・中国篇・法華玄義II』(2013.2,大蔵出版)を刊行した。『法華玄義』巻第九下からは巻第十下までは、『新国訳大蔵経・中国篇・法華玄義III』に収録される予定である(他ののテキストも含む)。 4. 南北朝の仏教について、韓国金剛大学校において、「『法華経』の中国的展開」と題して研究発表をした(2012.11.24 )。また、インド・ムンバイのSeventh Biennial International Conference on Buddhist Textsにおいて"Daosheng's Commentary on the Lotus Sutra" と題して研究発表をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『大乗四論玄義記』の訳注研究は、写本資料の質が悪く、解読にかなり難渋した。そのために、訳注の速度が遅れ気味である。ただし、「仏性義」については、訳注を進め、これを基礎として、従来にない、「仏性義」に対する詳細で堅実な研究論文を刊行することができたと自負している。 また、『法華玄義』の訓読訳も刊行を継続中であり、これもまた南朝仏教学の研究の基礎となると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 『大乗四論玄義記』「仏性義」の現代語訳・注の精度を高め、それを基礎として、第64回日本印度学仏教学会(島根県民ホール、松江市、2013.8.31)において研究発表を行い、その発表をもとに論文を刊行する予定である。 2. 国際学会に参加し、南朝仏教学の大物である光宅寺法雲の『法華義記』を中心資料として、「法雲の法華経観」と題して研究発表をする予定である。 3. 『法華玄義』の訳注研究を継続して完成する。 4. 『大乗玄論』「二智義」と『浄名玄論』の「二智義」を比較研究することによっ て、『大乗玄論』の成立の問題を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 物品費については、コンピューターソフトの購入や周辺機器の購入を予定している。 2. 旅費については、海外の学会での研究発表、海外の学者との情報交換を予定している。また、国内の学会の参加、学者との情報交換を予定している。 3. 謝金については、研究資料の整理などにアルバイト雇用を予定している。外国語による論文発表のために、翻訳料、校閲料を予定している。
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