2013 Fiscal Year Research-status Report
サンスクリット写本識語の研究 ―ネパール写本を中心として―
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23520070
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Research Institution | International College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
DELEANU FLORIN 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10271404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 伸一郎 国際仏教学大学院大学, 国際仏教学研究所, 研究員 (60339778)
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Keywords | サンスクリット写本 / 写本識語 / ネパール写本 / 東インド写本 / ネワール / サンスクリット / 東インド中世初期史 / データベース |
Research Abstract |
東京大学総合図書館が所蔵するサンスクリット写本の実見調査を実施した。また、研究分担者がイギリスに出張し、大英図書館・王立アジア協会・ウェルカム図書館・ロンドン大学SOAS図書館・ケンブリッジ大学図書館でサンスクリット写本の実見調査を実施した。 これら国内外での写本実見調査の際には、その場で識語を解読しノートパソコンでunicodeによる電子テキストとして入力した。書写完了日を明記した写本については、多くの場合、Yano & Fushimi, Pancanga Vers. 3.13を応用して、日付を西暦に換算し書写年代の確定に成功した。識語に含まれる地名・寺院名・王名・筆写者・寄贈者・所有者等の固有名詞を収集できた。 本年度の成果として特筆すべきことは、東インド(現在のインド西ベンガル州・ビハール州、バングラデシュ等)で作成された後カトマンドゥ盆地にもたらされ伝承された多数のサンスクリット写本の識語を実見調査できたことである。既存の目録に全く記載されていない複数の東インド写本を新たに発見できた。目録や校訂本に記載される写本の場合も、摩耗のためマイクロフィルムでは文字が極めて不鮮明で判読困難な箇所を実見することによって、識語の読みを大幅に改善できた。その結果これら東インド写本の識語には、10世紀末から15世紀までのインド仏教史・東インド史の研究のために極めて重要な情報がしばしば含まれていることが判明した。 ネパール写本所蔵機関を中心に、利用案内・閲覧方法やインターネット上で利用できるカタログ・写本画像等へのリンクを集めた、「サンスクリット仏教写本 所蔵機関リンク集」(http://www.icabs.ac.jp/iibs/links.html)にリンクを追加し更新した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンスクリット写本所蔵機関に出向き、実見調査で識語を解読し全てノートパソコンで入力したため、写本識語のデータベースが着実に蓄積されている。実見調査で精確に解読した識語を利用・参照した論文が刊行された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きサンスクリット写本所蔵機関で実見調査を実施し、識語を精確に解読しながら、その場でパソコン上に入力していく。実見調査では特に東インド仏教写本を優先して識語の解読を行う。書写完了日を明記した写本については、日付を西暦に換算し書写年代を確定する。識語に含まれる地名・寺院名・王名・筆写者・寄贈者・所有者その他の固有名詞を収集しデータベース化する。実見調査した写本識語のうち特に重要なものについて、国内外の学会で研究発表をおこない、論文として公刊する予定である。 美術史関係の書籍・雑誌に掲載される、挿絵入りサンスクリット写本(特に東インド仏教写本)に関する論文を収集する。 インターネット上の「サンスクリット仏教写本 所蔵機関リンク集」は、新たに発見したものや開設されたものをその都度追加していく。
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