2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本で発見されたオリヤー語『マハーバーラタ』「津島貝葉」の校訂テキスト作成
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23520072
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
DASH Shobha 大谷大学, 文学部, 准教授 (20460660)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | Sarala dasa / Mahabharata / マハーバーラタ / オディアー語 / オディシャ― / 津島貝葉 / Palmleaf manuscript / 貝葉写本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、愛媛県宇和島市津島町に残るオリヤー(オディアー)語版『マハーバーラタ』の貝葉写本「津島貝葉」に関するものである。『マハーバーラタ』研究、とりわけその受容史の解明に有益である当該写本の校訂テキストの作成を中心とし、「津島貝葉」の異本の入手および「津島貝葉」を底本とした『サララー・マハーバーラタ』「森林章」第一部の校訂テキストの作成を目的としている。これらの目的を達成するために研究を進め、2014年度は、以下のような成果を得た。 (1)これまでに入手した異本の扱い及び書体の確認を行なった。 (2)「津島貝葉」に使用されている書体のローマナイズ音符付きの文字表を作成した。 (3)「津島貝葉」の校訂テキストを作成するために、「津島貝葉」の校訂ノート付きのローマ字転写テキストに加え、入手した異本の該当箇所をローマ字入力し、偈ごとに平行に並べ、その相違箇所のリストを作成した。その際に大きな困難と遭遇した。異本はそれぞれその内容や韻律が同じであっても、その述べ方が異なっていた。単なるバリアントではなく、表現や使用単語までも異なっていたことが発見された。まるで、同じテーマの内容を複数の人が語っているかのようになっていた。説話文学の性格や受容性にこれは大きな手掛かりになるに違いない。 (4)「津島貝葉」の冒頭部にある300余りの偈はオリッサ州文化庁出版の『サーララー・マハーバーラタ』や入手した9本の異本に含まれていないため、それは後に挿入された部分ではないかとずっと思われていたが、それは、「森林章」の前にある「Sabhaparba」(集会章)に含まれていたことが判明した。このようにして、これらの300余りの偈は集会章の最後、あるいは森林章の冒頭部に入れることによって『サーララー・マハーバーラタ』は二つの系統を持ち伝承されて来たことが明白になったことが、大きな研究成果となる。
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