2012 Fiscal Year Research-status Report
チベット仏教寺院補修作業のための基礎データ集成の作成と公開―現状記録と原型再現―
Project/Area Number |
23520075
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Research Institution | Koyasan University |
Principal Investigator |
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 教授 (50177193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 和雄 高野山大学, 文学部, 助教 (00509523)
川崎 一洋 高野山大学, 文学部, 研究員 (50421293)
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Keywords | チベット寺院 / 文化財保護 / 国際学術交流 / チベット美術・建築 |
Research Abstract |
[研究目的]チベットの仏教寺院は近年急速に衰退荒廃しつつあり、物理的修復が急務とされている。中国国内外団体による修復が推進されてはいるが、前提とすべき基礎データが欠如しているため適確な補修がなされず、かえって文化財を損なうケースが往々にして ある。本課題は寺院修復作業に直接寄与しうる基礎データ集成の作成を目指す。その際、指標となる寺院を厳選し破損状況を確認し対策を立てた上で(1)寺院の本来の姿・機能を再現すべく空間論(建築・美術が宗教空間において本来有していた機能)を明かし、(2)建築・美術の独自性を明かすために印中文化交渉の影響を分析して総合的解明を目指す。 [研究実施状況]当初前年度に予定していたが先延ばしとなっていたチベット本土調査を、遂行した。旅程は次の通り。 2012年8月6日、関空発、成都着。8月7日、成都発、ラサ着。8月8日~11日、ラサ滞在。8月12日、ラサ発、シカツェ着(移動6時間)タシルンポ訪問。シカツェ泊。8月13日、シャル訪問。シカツェ泊。8月14日、ギャンツェ訪問、シカツェ泊 (移動2時間)。8月15日、シガツェ発、サキャ着(移動5時間)。8月16日、サキャ発、ラツェ着。8月17日~18日、プンツォクリン調査。8月19日、ラサ発、成都着。8月20日、成都発、関空着。 現地調査は写真と映像と音声に記録し、課題遂行のための基礎資料を整えることができた。寺院の建築と美術の現状を把握し、現状維持のための素案を提出する本課題の目標は、その基盤の根本部分にかんしては達成しえたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度3月に予定していたチベット本土調査は、調査対象地域の政治情勢の不安定化により、外国人旅行者の入域規制が強化され、十分な成果が見込めなくなったため、今年度に先送りされていたが、本年度それを遂行することができた。チベット自治区への入域規制強化のため、旅行社による特別な手配が必要となり、本来予定していた支出額を上回ることとなったが、昨年度から本年度への研究費(直接経費)の繰り越し、さらに来年度からの前倒し支払を行うことによって、この問題を解消した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(第三年次)は、本年度調査によって回収したデータを整理して、三寺院(シャル・サキャ・ペンコルチューデ)に加え、調査を遂行しえた、ジョナンプンツォクリンにおける建築と壁画の現状を全体的に解明する。特に、建立当初から現在に至る増築・補修などの経緯を明らかにし、さらに、三寺院における各部屋の使用目的を明らかにして、その各空間に描かれた壁画の題材を比較検討することによって空間と壁画との関係を究明する。特には、測量結果に基づく建築プランの解析(建造物全体の補修計画)、壁面剥落部の分布について統計と対策(建造物内部の各部位の補修計画)、当地の伝統的修復技術の解明とそれを応用実現するための構想について(補修技術の検討)、具体的に検討する。 また調査対象地域の寺院誌を含む史資料『ニャン仏教史』の和訳作成にむけて作業を開始する。 最終年次である第四年次には、ワークショップを開催して、成果の統合にむけた作業をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のとおり、本年度の調査旅費に次年度の研究費を前倒ししたため、本年度は補充調査のための再度のチベット入りは見込めない。したがって本年度の研究費の使用は、データ整理のための作業に対する謝金と、国内の研究集会のための旅費を軸にする。さらには、関連資料の購入費に充てる。
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Research Products
(5 results)