2013 Fiscal Year Research-status Report
チベット仏教寺院補修作業のための基礎データ集成の作成と公開―現状記録と原型再現―
Project/Area Number |
23520075
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Research Institution | Koyasan University |
Principal Investigator |
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 教授 (50177193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 和雄 高野山大学, 文学部, 准教授 (00509523)
川崎 一洋 高野山大学, 文学部, 研究員 (50421293)
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Keywords | チベット寺院 / 文化財保護 / 国際学術交流 / チベット美術・建築 |
Research Abstract |
[研究目的]チベットの仏教寺院は近年急速に衰退荒廃しつつあり、物理的修復が急務とされている。中国国内外団体による修復が推進されてはいるが、前提とすべき基礎データが欠如しているため適確な補修がなされず、かえって文化財を損なうケースが往々にしてある。本課題は寺院修復作業に直接寄与しうる基礎データ集成の作成を目指す。その際、指標となる寺院を厳選し破損状況を確認し対策を立てた上で(1)寺院の本来の姿・機能を再現すべく空間論(建築・美術が宗教空間において本来有していた機能)を明かし、(2)建築・美術の独自性を明かすために印中文化交渉の影響を分析して総合的解明を目指す。 [研究実施状況]当該年度は、前年度に実施したチベット本土調査で得られたデータの分析を行った。写真と映像と音声から、寺院の建築と美術の現状を把握し、現状維持のための素案について考察した。当時の寺院の状況をしるために欠くことのできない参考資料である、ツァン地方の地誌『ニャン仏教史』のデジダルデータ化作業を、田上氏の助力により遂行した。また13世紀のチョムデンリクレルによる、仏像作画の際に必要な度量法を記した、『仏尊容荘厳華』(sKu gzugs kyi mtshan nyid rgyan gyi me tog)のチベット語データの入力ならびに訳注研究のため下訳を試みた(田上氏の協力による)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度行ったチベット本土調査にときに得られた資料の整理と、関連資料の解読を、当初の予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(第四年次)には、寺院調査・空間論分析の成果を総合し修復作業の基盤となりうるデータ資料を5点にまとめる。 すなわち、a. 関連チベット語文献資料和訳集成、b. 壁画画像データ集成、c. 塑像データ集成、d. 寺院建築見取り図、e. 破損箇所の一覧リスト、f. 修復案の一覧リスト(顔料選定や調達手段などについては田上、正垣が担当。建築素材の分析、着工の具体策は菅澤が担当。) そしてa-dによって寺院の現状をとりまとめ、e-fによって具体的な文化財保護案を提示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費及び資料購入費が想定額を下回ったため。 今年度の調査旅費と物品費に充てる。
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Research Products
(7 results)