2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520076
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Research Institution | The Nakamura Hajime Eastern Institute |
Principal Investigator |
田中 公明 公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 専任研究員 (00171744)
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Keywords | インド密教 / 曼荼羅 / チベット仏教美術 / サンスクリット写本 |
Research Abstract |
平成25年度は最終年度に当たるので、中国青海省ラジャ寺における砂曼荼羅制作と、漢蔵両仏教の図像が混淆している甘粛省炳霊寺の調査を予定していたが、ラジャ寺の砂曼荼羅調査は、蔵暦と西暦の換算ミスにより調査の機会を逸し、平成26年5月に延期となった。そこで代わりに25年5月に米国カリフォルニア州に所蔵されるチベット仏教美術の調査を実施し、大きな成果があった。その成果は、25年7月にモンゴル国ウランバートルで開催された国際チベット学会(IATS)で英語による発表を行い、さらに同年12月の密教図像学会(早稲田大学)でも、より詳しい発表を日本語で行った。 これに対して炳霊寺調査は25年9月に実施し、その成果の一端は炳霊寺文物保存研究所で行った講演で明らかにした。 代表者の博士論文『インドにおける曼荼羅の成立と発展』の第2部に収録したナーガボーディの『秘密集会曼荼羅儀軌二十』のローマ字化テキストの校訂テキストは、すでにナポリ東洋大学のF・スフェッラ教授のもとに原稿を送付している。平成26年3月の個人的な訪伊の際、スフェッラ教授に進行状況の説明を求めたところ、本年夏には初校ゲラが出る予定との報告を受けた。いっぽう『安立次第論』のローマ字化テキストは、高野山密教研究会『密教文化』と東京大学東洋文化研究所の紀要に論文を寄稿してきたが、ついに26年3月に全文のローマ字化テキストが揃った。 またインド・オリッサ州の仏教遺跡に関しては、2013年2月にオリッサ州のウダヤギリで開催された国際学会で、新たに同定した陀羅尼碑文について発表した。これについては、26年度の東大東文研の紀要に論文を発表する予定である。 また拙著『曼荼羅グラフィクス』(山川出版社)の英語版が、ネパールのVajra Publicationsから25年3月下旬に刊行された。博士論文の根幹をなす第1部については、第2章から第5章までの英訳とロルフギーブル氏による英文校閲を完了した。
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