2013 Fiscal Year Annual Research Report
自然的宗教史から見た人間存在における悪、死そして救いの構造研究
Project/Area Number |
23520078
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
諸岡 道比古 弘前大学, 人文学部, 教授 (70133915)
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Keywords | 自然的宗教 / 生と死 / 悪 / 救い |
Research Abstract |
日本宗教学会において「シェリングとシュライエルマッハーにおける自然的宗教について」と題し、口頭発表を行った。この発表は、ドイツ観念論の父と言われるレッシングが理神論に対して取った態度、つまり積極的宗教をそのものとして認めるとともに自然的宗教の実現を主張する考え方の延長線上に位置づけられるシュライエルマッハーの宗教論、特にその自然的宗教に対する考え方をシェリングのそれと比較したものである。 日本宗教学会で発表した原稿を大幅に加筆し、論文「シュライエルマッハーとシェリングにおける自然的宗教について」として弘前大学人文学部紀要『人文社会論叢』第31号に掲載した。この論文は、教養ある人々によって称賛される自然的宗教をシュライエルマッハーがいかに考え、また積極的宗教と自然的宗教との関係をいかに捉えていたかを解明し、その捉え方をシェリングのそれと比較したものである。そのなかで、シュライエルマッハーは教養ある人々によって受け入れられていたいわゆる自然的宗教を軽蔑するとともに、積極的宗教をそのものとして認めながらも、彼自身、直観し感情すべき宇宙を人間性に求め、理神論的意味での自然的宗教とは異なる自然的宗教を求めていた、ということことを解明した。そして自然的宗教には二つの流れ、つまり積極的宗教そのものを認める立場と自然的宗教が内在している限りでの積極的宗教を認める立場とがあることを明らかにした。またそうした自然的宗教を持つ人間の生と死、救いに関しても明示した。
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Research Products
(2 results)