2011 Fiscal Year Research-status Report
ヴァリニャーノ『日本史』の翻訳・分析に基づく十六世紀日本の比較宗教研究
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23520081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
狭間 芳樹 京都大学, 文学研究科, その他 (80588046)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | キリシタン / イエズス会文書 / ヴァリニャーノ / 比較宗教学 / キリスト教 / 仏教 / 浄土真宗 |
Research Abstract |
イエズス会の日本巡察師ヴァリニャーノ(Alessandro Valignano, 1539-1606)が著した『日本史』を蔵するポルトガルとイギリスの収蔵既刊へ赴き、当該史料の調査を行った。特にポルトガルでは、アジュダ図書館において、ヴァリニャーノの『日本史』および関連する史料などを複写・収集した。ヴァリニャーノの『日本史』に関しては、かつて尾原悟氏により、各章の原表題やその日本語訳のみが明らかにされているものの(『キリシタン文庫 イエズス会日本関係文書』南窓社、1981年刊)、全文の日本語訳はもちろん、活字化された翻刻などは欧州においても未刊である。そこでまず「序文」などを翻刻し、考察することで、本史料の全体像を概観するとともに、ヴァリニャーノの『スマリオ』(日本管区及びその統轄に属する諸事の要録)や、イエズス会士ルイス・フロイスの『日本史』との異同を比較検討し、とりわけ重要だと推察される章――たとえば「De otras qualidades y Costumbres de los Iapones」(8章:日本人の性質および習慣について)、「Acrecentase en Iapon de los Christianos en el ano 54. 55」(10章:1554年および1555年に日本でキリシタンの数が増加したことについて)といった部分から翻刻を開始した。なお、翻刻の開始時期においては海外の研究者ダニエラ・シャーフ氏(ハイデルベルク大学)にも援助を得た。その後、翻刻・翻訳を進めるなかで、これまで日本で邦訳刊行されているイエズス会報告書簡の誤訳や誤読なども明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イエズス会の公文書の多くはポルトガル語で記されているが、ヴァリニャーノの『日本史』に関してはスペイン語が中心であり、彼の母国語であるイタリア語やポルトガル語も混在している。さらに、ヴァリニャーノの来日前に作成されたイエズス会士の報告書簡をヴァリニャーノが引用する際には、たとえば原書簡がポルトガル語やスペイン語であっても、ラテン語による引用が多く見られることが、史料の翻刻および翻訳作業を通して確認された。 以上のように、『日本史』には複数の言語が混在していることもあり、翻刻作業は当初の想定より、いささか難解であった面は否めないものの、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き翻訳を遂行するにあたり、十六世紀のスペイン語の解読に熟達した研究者(メキシコ国立自治大学・有村理恵氏)に協力を依頼し、精緻な翻訳を進める予定である。 同時に、「アジア・日本のキリスト教と宗教的多元性」研究会をはじめ、その他、『日本史』の分析に関して、意見交換を行う研究会なども開催することにより、研究を推進していく。また、平成24年度研究計画に挙げたイタリアのイエズス会文書館などの他、ポルトガルの関係機関にて改めて調査を行うことも予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
『日本史』の翻訳、分析作業を進めるにあたって必要な史料の調査(イタリアのイエズス会文書館をはじめとしたスペインやポルトガルの関係機関を予定)や、成果発表のための学会参加といった旅費、それに、翻訳の推敲や校閲に関する人件費・謝金などが平成24年度研究費の主たる使用予定である。 その他、「設備備品費」として、平成24年度に刊行・発表され、本研究に深く関連する文献の購入、「消耗品費」(OA用品や文具類)の購入といった支出を計画している。
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