2013 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツにおける宗教と出版社の関係についての研究
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23520084
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
深井 智朗 金城学院大学, 人間科学部, 教授 (40306379)
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Keywords | 宗教学 / 思想史 / 社会学 |
Research Abstract |
3年間の研究をまとめることと、予定していたヴィルヘルム期、ヴァイマール期の出版社との関係を解明するための最後の資料収集を行った。 2013年8月に行われた現地調査ではクリスティアン・カイザー社の帳簿などを確認することができ、どのような執筆者に原稿料がどのような方法で支払われていたかをある程度解明することができた。すなわちクリスティアン・カイザー社は大学神学部や教会から政治的な理由で職を追われた神学者たちを保護するために、先払いで原稿料を支払い、生活費と思われる印税の支払いを月ごとに行っている。そこに明らかに出版社の思想と政治学を見ることができる。今後のこの出納関係書類と、この時期に書物を刊行した作家との対応関係、政治的、宗教的な立場を分析した論文を用意することになる。 次に、本研究を終えるにあたって、これまでの諸研究及び既に公にした諸論文などをまとめた「出版社宗教」に関する論文集をまとめる準備を行った。また新たな課題として、「著者-読者」関係の思想史から「著者-編集者-読者」関係の思想史への転換の提言を行った本研究に、さらに「編集者-読者」関係の部分を補完する研究として「大衆」の編集機能という視点を導入する可能性について検討し、その視点から既に収集した資料の整理を開始した。 第三に収集した資料の保存と公開のための準備を開始した。保存は勤務校の図書館などを想定しているが、公開については研究の公共性を考え、広く研究者が利用できるように、インターネットを利用し、ホームページなどを開設することによる公開を考えている。そのために著作権関係者との交渉をはじめている。
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