2013 Fiscal Year Research-status Report
近世東アジアにおける新知識体系とその構築に関する思想文化史的研究
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23520093
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
李 梁 弘前大学, 人文学部, 教授 (20281909)
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Keywords | 近世東アジア / 新知識体系 / 洪大容 / 書院 / 白鹿洞書院掲示 |
Research Abstract |
今年度は、以下の三本口頭発表を行いました。1.国際シンポジウム「近代化における東アジアの伝統と新潮流への転換」(国立台湾大学高等人文社会研究院主催、2013年4月12日~14日、台湾大学)にて、「近世東アジアの伝統「知」とその変容についてー比較文化史の視野から―」(日本語)と題する発表、2.「2013厳復:中国与世界国際会議」(北京大学哲学系主催、2013年10月11日~14日)にて「服部宇之吉:一位鮮為人知的中国近代教育功労者」(中国語)と題する発表、3.本科研研究会にて北京大学哲学系教授周程(東アジア科学史)、北京大学出版社主任編集者の周雁レイ博士(中国科学史)を本学に招き、「東アジアにおける科学思想の展開に関する思想史的再検討」(2014年2月11日~13日、弘前大学)にて、「洪大容の科学理解とその実践について」と題する発表を行いました。 なお、本科研課題の遂行のため、今年度の9月22日~30日、韓国高麗大学校、漢陽大学校、延世大学校で洪大容関係文献資料の調査蒐集、慶尚北道の安東市で陶山書院、屏山書院の踏査および文献蒐集を行いました。これからの作業は、本科研の遂行に多くの第一次史料を得られただけでなく、また現地でしか得られない知見をも得て、大いに役立つものだと思われます。 それから、他の科研関係(科研基盤B研究分担と科研基盤A協力)で今年度に二度にわたって中国の陶磁器の都ともいわれた景徳鎮およびシルクロードの起点の西安を訪ね、無形文化財としての陶磁器についての考察を行いました。これは、いままでの科研で得た知見を活かして、さらにいかに陶磁器の東西の歴史社会、とりわけ東アジア域内における経済的、文化史的意義をもったのかを究明する今後の研究課題に繋がっていくものだと思われます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本科研の出発年度から東日本大震災の影響によってスタートがかなり遅れてしまい、その軋みもあって、また今年は、他の分担参加の科研最終年度にあたり、複数の研究領域またはテーマに分かれ、研究エネルギーを多岐にわたって使わなければならないというのは要因のひとつであるかも知れません。今年度は、本科研の最終年度にあたり、いままで蓄積してきた知見、また五、六割ほど進捗してきた各研究テーマを活字して公表するよう全力を挙げて 完成します。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度では、いままでの研究知見、並びに国際学会や研究会での発表、議論および批評を踏まえて、近世東アジアにおける新知識体系という問題を中心に、新井白石の朱子学的合理主義と真理概念の普遍性、洪大容の科学理解と実践についての論考を仕上げ、大学の紀要などの学術誌の上で公刊します。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予約した本科研課題と関連ある文献資料は品切れとなり、新たに海外から取り寄せるのに時間がかかり、結局、年度内の使用に間に合わなかったからです。 本年度の使用計画は主として以下の幾つかに限ります。1.韓漢文版『洪大容集』の購入、2.本科研課題の発表のための国内旅費(関東、関西各一回)、3.論文投稿料、4.必要最低限の謝金と雑費、などです。
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Research Products
(5 results)