2012 Fiscal Year Research-status Report
中国の古代から中世に至る思想・美術の空間的歴史軸構築への模索
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23520102
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
片倉 望 三重大学, 人文学部, 教授 (70194769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 伸也 三重大学, 人文学部, 教授 (20283509)
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Keywords | 空間的歴史軸 / ギリシャ美術 / アキレウスの盾 / エクフラシス |
Research Abstract |
24年度は、昨年度に引き続き、機器の整備と購入した文献の分析、並びに読解を中心に作業を進めた。このうち、東日本大震災とタイの洪水の影響によって価格が高騰したため23年度は購入を控えた大容量HD等を必要最小限購入し、遅れていた画像資料の入力を進めることができた。ただし、当初予定していたアルバイトの人員を雇用する経費が不足したため、自力で入力せざるを得なかった点は残念としか言いようがない。 24年度に明らかになったことは、以下の如くである。すなわち、共同研究者二人の話し合いの中で、中国古代の思想・美術の空間的歴史軸が持つ特徴を明確にするためにはよりグローバルな視点から比較・対照を行う必要があるのではないか、ということで、24年度はギリシャについて、資料の分析と検討を行った。古代美術のなかには、古代人の宇宙や世界に対する思想や信仰を体現した世界像も含まれる。ギリシャ美術においては、文字による描写であはあるが、有名な作品が知られている。紀元前8世紀の伝説的詩人ホメーロスの『イーリアス』第18歌で雄弁かつ詳細に記されるアキレウスの盾がそれで、5層に円形が重なった青銅の面には宇宙と人間世界が概括的に図示されたミクロコスモスが構築されている。ギリシャ美術の様相はこうした「エクフラシス」=「絵を言葉に置き換えること」(文字による視覚芸術の描写)による資料だけでなく、現存する建築遺跡や彫刻、絵画によってある程度再現することが可能である。壁画のような大規模な絵画はほとんど残っていないが、赤絵や黒絵の彩画陶器は多数発掘されており、文献に記された芸術水準の高さを窺い知ることができる。古代ギリシアではスポーツだけでなく、芸術家のあいだにも競争があり、かれらはその技術を激しく競い合うことによって高めていった。この点は中国の超絶技巧主義に通じるところがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに述べたように、主に自然災害が原因のHD価格の高騰等により人件費を削減せざるを得ず、共同研究者と二人で自ら資料の入力を行わなければならない、というハンディはあったが、何とか遅れを取り戻すことができ、研究はおおむね順調に進展していると言えるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は漢代の資料整理と分析を中心に作業を進める予定であるが、24年度に比較の対照として分析を進めてきたギリシャ文化の淵源であるエジプトの死生観及び、その空間意識についても視野を広げておきたい。具体的には、『アニのパピルス』に代表される死者の書を資料とし、そこに描かれた死後の世界が持つ時間軸・空間軸の特徴を把握しておくということである。なお、23年度.24年度に同じく、分担者と週2回のペースで文献の読解と図像の解析結果について検討を行うこととしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)