2013 Fiscal Year Research-status Report
『暮しの手帖』と花森安治の思想史研究──民主主義的主体性の視点を中心に
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23520107
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
葛西 弘隆 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70328037)
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Keywords | 戦後思想 / 文化 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
2013年度はアメリカ合衆国に長期滞在し、コーネル大学東アジア研究所で研究活動を行った。前年度までの成果をもとにテクストの詳細な検討を行ったほか、現代日本研究をリードする研究者がいる大学(コーネル大学、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校)で花森安治について研究発表・討議する機会をもち、そこから多くの示唆を得ることができた。" Hanamori Yasuji after 3.11: Cultural Politics and Democracy," East Asia Program-GSSC, Cornell University; "Hanamori Yasuji and the Question of Everyday Life in Postwar Democracy," East Asia Program, Cornell University; "Hanamori Yasuji & the Politics of Everyday Life in Postwar Democracy," A Workshop with Prof. Hirotaka Kasai, Terasaki Center for Japanese Studies, University of California Los Angeles. その他、北米のアジア学会など国際学会において、20世紀日本思想について報告、コメントなどを行う機会を得た。Comments on Ellie Choi’s paper, Workshop: Was Taisho Liberalism Applicable to China and Korea?, Cornell University; "Subjectivity and Transnationalism: Nakai Masakazu’s Conception of ‘World Culture,’" Transnationalism and Minority Cultures Conference, The University of Oklahoma; chair of the panel, "Japanese Imperial Power and Its Limit Cases," Association for Asian Studies, Annual Conference in Philadelphia. テッサ・モーリス=スズキの邦訳新刊『日本を再発明する』の書評を新聞に寄稿し、近年の日本思想文化研究の動向をひろく一般に紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度はアメリカ合衆国で研究を行う機会を得たので、それを活かして、花森安治の思想史的意義について北米の大学で報告・討論する機会を多くもつことができた。本研究課題の基本的視角と花森安治の読みについて、よい評価を得た。単著の準備にはずみがついたといえる。また、数々の討論から、1970年前後の花森安治を同時代の東アジア・アメリカの政治的・文化的文脈と重ねて評価できるのではないかとの貴重な示唆を得たので、今後の作業に織り込む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題を2014年度に継続することになったので、これまでの研究の蓄積をふまえて論文公開の準備を進める。出版社との話し合いを進めており、単著として花森安治論を刊行する計画である。北米の日本研究者との交流もつづけ、研究会等で報告する機会を設ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25 年度には、この分野で先端的な研究を展開している日本・アジア文化研究者との会議において、数回にわたり、花森安治の思想史的評価について報告し、集中的に討議する機会をもつことができた。その結果、花森安治の「暮し」概念について、20 世紀中頃の「日常性」概念をめぐる思想史の国際的な文脈で、さらに詳細に検討する見通しがついた。 当初の計画より圧縮された図書費と旅費分を H26 年度に回し、学会等での研究発表の機会を継続してもちつつ、研究成果となる単著の出版準備を進めることとしたい。
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Research Products
(8 results)