2013 Fiscal Year Research-status Report
「聖廟文学」の思想史的研究―平安朝文人の天神信仰―
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23520108
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉原 浩人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80230796)
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Keywords | 聖廟文学 / 天神信仰 / 菅原道真 / 大江匡房 / 文人貴族 / 大宰府 / 慶滋保胤 / 源相規 |
Research Abstract |
本研究は、菅原道真の霊を天神として祀る宗教施設、すなわち安楽寺(太宰府市)・北野社(京都市)・吉祥院(京都市)の三聖廟に捧げられた、詩序・願文類を「聖廟文学」と呼び、表現の位相や信仰の背景を精査することで、その思想史的意義と、平安朝文人貴族の天神信仰の実態を闡明することを目的とする。2013年度には、9回の研究発表・講演と、2本の論文を発表・刊行し、研究を大きく進展させた。 主要な講演などの業績は、以下の通り。1中国西安市・陝西師範大学宗教研究中心「宗教学論壇」において「御霊神与学問神―対于菅原道真的信仰之両面性」と題し公開講演を行い、併せ唐代の天壇・大内遺跡の調査と資料蒐集を行った。2中国浙江省紹興市・龍華寺で行われた第二回中国密教国際学術シンポジウムにおいて、天神信仰進展に大きな役割を果たした大江匡房の願文についての講演を行った。3菅原道真が積極的に受容した白居易について、中国杭州市・浙江工商大学東亜文研究院主催の「西湖のイメージ:東アジア名勝の誕生・流伝・移動」国際学術シンポジウムにおいて、基調講演を行った。4中国北京市・清華大学において行われた「東アジアにおける孝の文化」国際学術シンポジウムにおいて、菅原道真を含む日本文人の孝思想について発表した。5中国北京市・中国人民大学外国語学院日語系建系20周年紀念学術講座において、菅原道真など平安朝の文人と白居易の関係について公開講演を行った。6韓国蔚山広域市・蔚山大学校で行われた国際シンポジウム「東アジアの霊魂観と文化交流」において、菅原道真など平安朝文人の願文にみる「聖霊」という表現について検討した。 その他、大隅・薩摩地方における天神信仰・八幡信仰遺跡の実地踏査を行い、「聖廟文学」関連文献の註釈を進展させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
あらかじめ提出した研究計画について遅滞なく達成し、さらにそれ以上の成果を挙げた。
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Strategy for Future Research Activity |
あらかじめ立てた計画に従い、註釈・論文作成と、実地踏査を並行して行う。平成26年8月には、中国広州市広東外語外貿大学において開催される「2014年度日本文学年会及び日本語教育日本研究国際学術シンポジウム」において基調講演を行う。また同じく8月に、西安市西北大学で開催される「古代長安と東アジア文化交流」においても基調講演を行う。その他、京都・杭州などにおける国際会議においても、本研究に関連する口頭発表を行う。また、各地の天満宮を実地踏査し、天神信仰関連資料の蒐集と註釈につとめる。 11月もしくは12月には、本科研の総仕上げの意味で、早稲田大学日本宗教文化研究所との共催で、天神信仰に関する国際シンポジウムを開催する。基調講演者としては、カリフォルニア大学ロバート・ボーゲン名誉教授を予定している。
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