2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520109
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
平泉 隆房 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (20148357)
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Keywords | 思想史 / 白山信仰 / 山王信仰 / 白山神人 / 日吉神人 |
Research Abstract |
全国に広がる白山信仰また日吉信仰(山王信仰)が、どのような人たちによって、いつ頃どのような経路で広まっていったのかを解明した。基礎作業として、現在の白山神社(白山比咩神社、白山社、白山宮)と日吉神社(日吉社、山王神社、山王社)の全てを国土地理院の地勢図また地形図上で拾った。そして、両神社の分布傾向が近似していること、日吉神社は、かつての延暦寺の荘園や日吉社領の近くに多くの場合鎮座していることを確認し、史料上からも、日吉神人と白山神人とが協調していることをあとづけた。このことより、比叡山延暦寺の勢力が平安後期から鎌倉・南北朝期にかけての頃、荘園を全国に獲得していくなかで、延暦寺の僧侶や日吉神人が、日吉信仰(山王神道)や白山信仰を現地でたくみに利用しつつ全国的に勢力を伸張していくことを確認した。 その過程で、延喜式内社(論社を含む)に着目し、式内社を前身とする日吉神社や白山神社が実に多く存在することを突きとめた。式内社の白山神社は、加賀一宮の白山比咩神社一社のみであることは周知のことで、明らかに式内社の衰微に乗じて、白山勢力が入ってくるものと思われる。式内社はまた、交通の要衝や主要街道沿いに多いことも知られており、そのような立地上の結節点に進出したことも明らかであろう。 北陸道、東山道、東海道については作図作業はすでに完了しており、北陸道についての論文化はおえた。地名を確認しつつの作業以外に、神社本庁が公開している資料に付された位置情報(東経、北緯の情報)をもとに、作図を短時間(15分ほど)で実施できる方法を開発した。 あわせて、白山信仰に関する研究史を、古代中世分だけではあるがまとめた。
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Research Products
(3 results)