2011 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける翻訳語ネットワークの形成と近代学術知に関する思想史的研究
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23520111
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桂島 宣弘 立命館大学, 文学部, 教授 (10161093)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | トランスナショナル・ヒストリー / 東アジアの思想史 / 国際情報交流(韓国・中国・台湾) / 翻訳語ネットワーク / 帝国と植民地 |
Research Abstract |
I.研究代表者が主催する研究会の開催。○5月13日.報告者(以下同)桂島宣弘/沈熙燦○5月20日.方阿離○6月10日.鄭炳浩/裵貴得○6月17日.磯前順一/金泰勳○6月24日.石椿/許智香○7月8日.殷暁星/Andres Perez Riobo」○7月22日.金東僖○7月23日.宋炯穆○11月11日.宋炯穆」○11月18日.Andres Perez Riobo/殷暁星○2012年1月13日.金東僖II.研究代表者と研究会が主催した公開講演会の開催。○11月4日.宋寅在(韓国翰林大学校翰林科学院HK研究教授)「概念史と中国歴史学における新たな道への試み」○12月2日.徐興慶(台湾大学教授)「近代化における日中知識人の思想交流○12月16日.朴晋雨(淑明女子大学教授)「韓国から見た「靖国問題」」○2012年1月20日.劉岳兵(中国南開大学教授)「中国(大陸を中心に)における日本思想史研究の回顧と展望」III.以上の研究会・講演会の成果は『東アジアの思想と文化』4号として刊行した。IV.研究代表者による研究報告と講演。○国立台湾大学人文社会高等研究院。 2011年8月12日「トランスナショナル・ヒストリーと東アジア」○中華人民共和国南開大学日本研究院。2011年10月20日「トランスナショナル・ヒストリーと東アジア」○台湾大学文学院・立命館大学文学部学術交流シンポジウム。2012年03月22日「明清王朝交替と東アジアの思想史」(基調講演)。 V.研究代表者の研究論文の執筆。(1)「明清王朝交替と東アジアの思想史」『東アジアの思想と文化』4号、2012年3月。(2)「宗教概念と国家神道論」『植民地と宗教』に投稿中(掲載決定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、研究代表者がこの間十数年にわたって従事してきた東アジアにおける自他認識研究を土台として、東アジアにおける翻訳語=日本漢語の普及を基軸とした近代学術知の成立過程を、思想史的に解明しようとするものである。2011年度の研究の結果、これまで別個に行われてきた18~19世紀の日本思想史・朝鮮後期思想史、明清思想史について、共時的な思想空間内での動向として記述していくことに一つの目途を得て、近世帝国的自他認識から近代ナショナリズム生成への世界史的な思想動向と東アジアの関連について一定程度明らかにすることができた。さらに、明治日本における国史学・思想史学の形成が、東アジア、とりわけ植民地朝鮮と植民地台湾において、どのような作用・影響を与えたのかを実証的に解明し、日本思想史学と「朝鮮学・台湾学」などの相互の関連を、ポストコロニアル問題と結びつけつつ分析することについても、基礎的史料収集には一定の目途をつけることができた。近代人文科学としての近代歴史学(国史学)の日本における成立と、それが東アジアに及ぼす作用・影響の解明については、植民地時代朝鮮における歴史書編纂の部分については、ほぼ史料収集を終え分析も大方完了することができたが、植民地期台湾や満鉄調査部による学術調査などは、未だ計画段階であり、今後の課題となっている。さらに、2011年度の研究では儒学・国学(道教)などが分析の中心であったが、仏教や諸宗教、民衆思想に視野を広げる必要性が浮上してきており、この点についても2012年度以降の課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年は、本研究の中心となる一年である。前年度に引き続いて、毎月二回ペースでの立命館大学での東アジア思想文化研究会の開催が活動の中核となるが、植民地時代台湾での歴史編纂の様相、日本の近代国史学・思想史学との関連、相互作用について、現地調査も含めて重点的に明らかにしていく。同時に、立命館大学図書館、人文系文献資料室等を中心とした文献目録の作成、その文献目録に基づく国会図書館、名古屋蓬左文庫、及び韓国高麗大学校、台湾大学図書館等での文献・史料の収集、韓国学中央研究院、台湾大学、中国南開大学等の現地調査による文献・史料の収集、それらのパソコン等への打ち込み、データの一部公表、北京で予定されている東アジア宗教文化学会第二回大会への参加、韓国日本近代学会への参加と基調講演などが研究の中心となる。上記と並行して、研究代表者による文献・史料の分析、史料紹介的論文の作成が行われる。秋には韓国・台湾側研究者を招聘しての国際シンポジウムを開催する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度については、当初予定していた研究小括『東アジアの思想と文化』刊行費の執行をとりやめたため、研究費に未使用額が生じたが、24年度にそれを計上することとした(約20万円)。平成24年度は、韓国・中国・台湾の研究者との意見交換のための交通費、研究者の招聘費用、謝金等のほか、引き続き図書購入費、パソコンメンテナンス用費用などが執行の中心となる予定である。
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Research Products
(6 results)