2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520112
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
水嶋 一憲 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319578)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 情動 / 帝国 / グローバル化 / メディア文化 / コモン |
Research Abstract |
本研究は、今日のグローバル資本主義の新たな展開の中で情動が果たす大きな役割、いいかえれば、情動のポリティクスとエコノミーに対して、(a)ネグリ&ハート<帝国>三部作を中心とする帝国論の新展開、(b)近年の人文・社会諸科学における情動論的転回という交差する視座から接近を試みようとするものである。 このような目的を達成するために、前年度末には、情動論的転回の一つの大きな契機となったスピノザ研究の新展開を促した、エティエンヌ・バリバール『スピノザと政治』の翻訳を刊行するとともに(平成23年3月、水声社)、論文として「金融コミュニケーション資本主義からコモンのエコロジーへ」(『現代思想』39巻3号、平成23年3月、青土社)、「情動の帝国」(『JunCture 超域的日本文化研究』第2号、平成23年3月、名古屋大学大学院文学研究科附属日本近現代文化研究センター)、「〈帝国〉とマルチチュード」(『社会学ベーシックス第9巻 政治・権力・公共性』、平成23年3月、世界思想社)の3本を発表した。 今年度は、これらの作業を引き継ぎ、ネグリとハートによる<帝国>三部作の最終巻にあたる『コモンウェルス』の翻訳監修作業を進めながら(NHK出版より近刊予定)、グローバルなメディア文化の変容を多角的に分析した共同論集『ポストテレビジョン・スタディーズ』(せりか書房より近刊予定)の一章として、「ネットワーク文化の政治経済学」を分担執筆した(原稿提出済み)。また、『現代社会学事典』(弘文堂より近刊予定)の11項目を執筆した(原稿提出済み)。併せて、平成23年9月22日から10月1日にかけて、イタリア・ヴェネツィアのカフォスカリ大学を拠点に、<3月11日以降の日本のメディア状況と第二次世界大戦後の核をめぐる諸種の争点/表象>をテーマに報告と意見交換を行い、現地のクリエイティブ産業の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
監修を担当している、ネグリとハートの共著『コモンウェルス』の翻訳について、翻訳者による作業の遅延により今年度中に刊行することができなかったため。監修者としては、訳語の確定や文献の探索、引用箇所の訳文作成や難解な箇所の訳者への説明といった作業はとうに済ませているので、次年度中の刊行を目指して訳者との共同作業のピッチを上げてゆきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ネグリとハートの共著『コモンウェルス』の翻訳作業を進めるとともに、今年度後期から半年間、ハーバード大学ライシャワー日本研究所に客員研究員として滞在しつつ(大阪産業大学在外研究制度による派遣)、多様な分野の研究者たちとの交流を深めつつ、情動論的転回の最先端をめぐる学際研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額931,706円は、当初の予定額とほぼ合致しており、研究図書の購入を中心に物品費として50万円程度、アジア圏/欧米圏での調査研究のための旅費として40万円程度を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)