2012 Fiscal Year Research-status Report
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23520112
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
水嶋 一憲 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319578)
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Keywords | 情動 / 〈帝国〉 / グローバル化 / メディア文化 / コモン |
Research Abstract |
本研究は、今日のグローバル資本主義の新たな展開の中で情動が果たす大きな役割、いいかえれば、情動のポリティクスとエコノミーに対して、(a)アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの<帝国>三部作を中心とする帝国論の新展開、(b)近年の人文・社会諸科学における情動論的転回という交差する視座から接近を試みようとするものである。 このような目的を達成するために、平成24年度には、ネグリとハートの<帝国>三部作の最終巻にあたる『コモンウェルス』の日本語版を刊行した(監訳および解説を担当。平成24年12月、NHK出版)。同じく、ネグリとハートの新著『叛逆:マルチチュードの民主主義宣言』の日本語版を刊行した(共訳および解説を担当。平成25年3月、NHK出版)。これらは帝国論の新展開と情動論的転回について研究するための開かれた土台をなすものである。また事典項目として、「ネグリ」・「ハート」・「マルチチュード」を始め、本研究とも関連する11個の項目を『現代社会学事典』のために執筆した(平成24年12月、弘文堂)。 また、これらの執筆作業と並行して、所属研究機関(大阪産業大学)の在外研究制度を利用し、平成24年9月から平成25年4月まで、アメリカ合衆国のハーバード大学ライシャワー日本文化研究所に客員研究員として所属しつつ、グローバルなメディア環境における情動のエコノミーに関する研究を進めた。その間、依田富子教授(Takashima Professor of Japanese Humanities)やAlexander Zahlten助教授を中心とする研究会やワークショップに積極的に参加し、研究のネットワークを厚く広く構築することができた。ハーバード大学を節点とする、この知的・人的なネットワークは、本研究にとってもきわめて有用な資源となるものと確信する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主題である、帝国論の新展開と情動論的転回にとっての理論的基盤をなす、アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの共著『コモンウェルス』の訳書に加えて、彼らの新著『叛逆』の日本語版を、平成25年4月のネグリの来日講演(日本学術会議・国際文化会館共催)までに出版することができた。 また、平成24年9月から平成25年4月まで、アメリカ合衆国のハーバード大学ライシャワー日本文化研究所に客員研究員として所属しつつ、本研究を推進するための人的ネットワークの構築を行うことができた。 これら基本文献の翻訳と国際的な研究ネットワークの強化によって、本研究の最終年度における取りまとめ作業のための土台が整備されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに構築・整備することのできた土台をもとに、最終年度にあたる平成25年度においては、単著の刊行に向けた研究テーマの整理と原稿の執筆を進めながら、ハーバード大学ライシャワー日本文化研究所におけるメディア関係の国際会議に出席する等、多様な分野の研究者たちとの国際的な交流を深め、そこで得られた知見を本研究のエラボレーションに向けて活用してゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年9月から平成25年4月までの約7ヶ月間、アメリカ合衆国のハーバード大学に客員研究員として所属していたため、時期的に日本でのパソコン一式の購入を見合わせざるを得ず、研究書籍等の購入も手続きの関係上、ある程度控えざるを得なかった。また、この在外研究の派遣元である大阪産業大学の学内規定により、上記期間中、合衆国の外で調査を実施することができなかった。 そのため平成25年度の研究費の使用計画には、前年度に使用できなかった物品費と旅費が繰り越して計上される予定である。まず、物品費として181万円程度を使用する予定であるが、その内訳は、パソコン一式の購入費として90万円、研究図書費として61万円、コンピュータ関連消耗品費として30万円の使用を計画している。また、ハーバード大学ライシャワー日本文化研究所におけるメディア関係の国際会議に出席する等、旅費として56万円程度の使用を計画している。
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Research Products
(3 results)