2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520127
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
池上 英洋 國學院大學, 文学部, 准教授 (00409806)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 遠近法 / 歪曲画 / ルネサンス / バロック / イエズス会 / 国際情報交流(イタリア、フランス) |
Research Abstract |
本研究課題の研究期間は三年間で計画されている。当該年度は三年計画の初年度にあたる。以下、当該年度における研究実績を、交付申請書に記載した「研究計画・方法」に沿って報告する。 一、文献収集と解読: 計画通り、レオナルドと彼以降の遠近法の展開を知るに有益な文献を選定、購入した。解読とノート作成も順調に消化し、次年度(計画二年目)の下地としている。 二、現地調査: 平成23年12月28日から平成24年1月5日にかけて、スペインにおける後期ルネサンスからバロックにかけての教会装飾(特に天井画)の撮影および資料収集をおこなった。特に、イタリアからルカ・ジョルダーノがスペインに招かれた後、現地で独自の発展がみられたものの、不思議なことにこれまでそれらを対象とした遠近法史的研究はほとんどなされていない。そのため、今回の調査によって、多くの教会装飾について、主題選択・作図段階・壁面投影段階の三段階の分析に利用可能な「天井画写真、画面配置・主題特定などの情報」を得ることができた。下記に取材対象の一部を列記するが、これらのほとんどが、これまで写真さえ我が国に入ってきていないものである。 Iglesia de San Antonio de los Alemanes, Las Calatravas, Nuestra Senora del Carmen y San Luis, San Cayetano, Parroquia de Santa Barbara, Real Basilica de San Francisco el Grande, San Andres (Capilla del Mismo Santo), Iglesia de San Martin
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募申請時の研究計画(三年間)において、初年度に達成すべき内容は、ほぼ計画通り消化できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
一、文献収集と解読: 初年度の成果をうけて、二年次に追加収集が必要となる文献リストを夏前に決定し、入手に入る。これまでの研究実績から、次年度は初年度の半数の文献を必要とするものと予想され、よって15冊程度に上るものとする。解読も初年度の半数の分量となるが、文献解読の半減で得られるエフォートは、そのまま以下の<三>へと利用される。 二、現地調査: 初年度同様、夏か冬に一~二度、一~三週間程度の現地調査を必要とするものと予想される。ここでも日程の半分は作品撮影や計測などの現地調査にあて、残る半分は研究拠点にて文献調査および現地研究者との意見交換などにあてることになる。 三、第一次成果の発表と第二次成果のまとめ 初年度の研究計画遂行によって得られた第一次成果について、具体的な発表準備に入る。形式は口頭発表や論文の形をとる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査旅行の費用として、欧州への渡航費を15万円から25万円の範囲と予想している。出発日時や航空会社によって価格が一定しないため、正確な予想は困難であるが、可能であれば上記の範囲内で二度の調査ができれば研究遂行に大いに資すると考えられる。費用が予想範囲を下回れば、当然ながら物品費や次年度の研究費に繰り込むことになる。 謝金として、3万円程度の支出の必要性が考えられる。これは当初の申請段階では考慮していなかったが、初年度の研究遂行にあたってデータ整理と分析の補助者の必要性が生じたため、すでに初年度末に一度、13,500円の謝金を支出した。その経験から、次年度はおよそその2~3倍の謝金を必要とするものと考えている。 残額は、ほぼすべて物品費として、追加収集の対象となる文献の購入にあてられる。おおよそ15~20万円ほど確保できれば、最低限の必要性は満たせるものと考えている。
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Research Products
(1 results)