2013 Fiscal Year Annual Research Report
時の視覚化としての星曼荼羅の研究-数理天文学と密教学の融合による絵画-
Project/Area Number |
23520138
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 清 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (70192333)
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Keywords | 星曼荼羅 / 北斗曼荼羅 / 図像 / 星宿 / 数理天文学 / 占星術 |
Research Abstract |
最終年度は、従来言及されることがほとんどなかった江戸時代の星宿関連絵画に注目し、考察をおこなった。それは、星曼荼羅(北斗曼荼羅)の展開として当然視野に収めておく必要性に立脚したものである。取り上げた作品は、北斗七星と九曜星を伴う妙見画像(個人蔵)で、三十番神の墨書を伴っている。当該作品の北斗七星と九曜星の図像は、流布本の星曼荼羅の対応図像をほぼ踏襲するのが特徴であり、江戸時代に出版された仏像図像集を典拠としていることが判明した。三十番神の信仰と習合しており、日蓮宗などの法華信仰が背景として想定される。研究成果は、松浦清「北斗七星と九曜星をともなう江戸時代の妙見画像の一例-誤謬解釈を越えて-」として、武田佐知子編『交錯する知 衣装・信仰・女性』(平成26年3月、思文閣出版)に収載した。 この研究の視点にある江戸時代の星宿信仰は、前年度の研究成果の延長上に位置する。それは、江戸時代の縁起絵巻である片袖縁起(大阪、大念佛寺所蔵)に描かれた月の表現と時刻や方位との関連性の明確化にあった。研究成果は、松浦清「「片袖縁起」における時の視覚化について」として、関西軍記物語研究会編『軍記物語の窓 第四集』(平成24年12月、和泉書院)に収載した。 研究期間全体を通じて実施した研究の重要な観点、すなわち数理天文学という自然科学と呪術的な密教との融合については、ホロスコープ占星術の影響を考慮し、時の視覚化を考察した。研究成果は、松浦清「星曼荼羅の成立とホロスコープ占星術-円形式の構成原理を中心に-」(真鍋俊照編著『密教美術と歴史文化』平成23年5月、法蔵館)ならびに松浦清「星曼荼羅の構成原理と成立について」(津田徹英編『仏教美術論集2 図像学I-イメージの成立と伝承(密教・垂迹)』に収載した。
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Research Products
(2 results)