2013 Fiscal Year Research-status Report
「鎖国」下の日本における清朝陶磁の受容とその影響に関する調査研究
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23520141
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Research Institution | 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館 |
Principal Investigator |
尾野 善裕 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, その他部局等, 工芸室長 (40280531)
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Keywords | 陶磁史 / 考古学 / 日中交流史 |
Research Abstract |
のべ24日にわたって、田中本家博物館・今右衛門古陶磁美術館・大阪市立美術館・静嘉堂文庫美術館・新宿区教育委員会・野崎家塩業歴史館・徳川美術館・香蘭社・兵庫陶芸美術館・彦根城博物館・沖縄県立埋蔵文化財センター・大阪歴史博物館・久保惣記念美術館・眞葛ミュージアムなどにおいて清朝陶磁およびその影響下に製作された日本陶磁の調査を行うと共に、中間成果報告と位置付けている特別展覧会の図録に用いるための資料写真の撮影を行った。 本年度は、中間成果報告書としての特別展覧会図録の作成にに向けて、資料写真撮影にに重点を置いたため、調査自体は補足的な範囲にとどめざるをえなかったが、琉球経由で江戸時代の日本へ清朝陶磁が輸入されたいたことを裏付ける文献資料の発見という大きな成果をあげることができた。また、これまで日本文化としての側面が強調されすぎるあまり、ほとんど注目されてこなかった江戸時代後期の茶の湯における中国趣味の存在を明らかにすることができた。 10月には、それらの成果を踏まえて京都国立博物館にて特別展覧会「魅惑の清朝陶磁」を開催し、無事図録を刊行することができた(図録は展覧会事業の共催者である読売新聞社の発行)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度最大の目標であった中間成果報告としての特別展覧会の開催に無事こぎつけることができた。その一方で、当初計画していた中国本土での調査については、時間的・金銭的制約から全く実施できていない状況にあるが、中間成果報告書として刊行した特別展覧会図録について、海外の研究者によってその内容を踏まえた論文が公表されるなど(『故宮文物月刊』第372期)、非常に高い評価を得ることができたので、当初計画からは大幅に軌道を修正しているものの、研究成果自体はあがっているので、おおむね順調と評価する
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していながら、現時点で全く実施できていない中国本土での窯跡出土資料の調査実現に努力するとともに、中間成果報告書としての特別展覧会図録に盛り込み切れなかった成果について、論文・講演会などの形で成果公表に努めることとしたい。また、研究成果の公表としての特別展覧会の国内巡回についても、無事実現したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中間成果報告書としての特別展覧会図録の刊行に全力を傾注した結果、予想以上に国内旅費と資料写真撮影の支出がかさんだため、当初予定していた海外調査を控えた結果、当初目論見との間に差額が生じた。 当初計画で予定していた最終年度での報告書刊行に向けて、国内の追加調査を行うと共に、実現できていない中国本土での調査実現を期す。
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