2014 Fiscal Year Research-status Report
伝統的な木材人工物における‘接ぎ手’技法の基礎調査と幼児用玩具への応用
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23520145
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
田中 隆充 岩手大学, 教育学部, 教授 (20374861)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 組み木 / 接ぎ手 / 玩具 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までで完成した接ぎ手のデジタルデータを実際に使えるレベルに立体化するための組み木の設計を行った。組み木は接ぎ手の種類によって,組み立てに難易度がある.例えば同じ立方体の組み木で同じ数のパーツであっても,組み方の順番や接ぎ手そのものの難易度によって,ユーザは難しいと感じることが分かっている.組み木の順番は,例えば,順番通りにAのパーツ,Bのパーツといったアルファベット順に組み立てるように,具合に何かしらの法則がない場合が従来の組み木には多い.そして,接ぎ手が相互に噛み合う造形そのものの難易度である.雄型では非常に特徴的な造形をした接ぎ手であっても,その雄型が噛み合う雌型の方が雄型の造形をユーザが想像できない場合は,組み立てに時間がかかってしまう.したがって,組み木の組み立ての難易度を下げる場合は,接ぎ手の雄型と雌型が噛み合うことが容易であるかが鍵となる.このように,「組み立ての法則性」と「_接ぎ手の造形的な難易度」の2つが組み木を設計する段階で考慮すべき要素であることが分かった.次に,上述した「組み立ての法則性」と「_接ぎ手の造形的な難易度」の2つ要素から,どのような法則性,どのような接ぎ手の造形性をユーザは組み木から観察して組み立てるのかを観察実験を通して行った.実験は3つの組み木を設計し,それぞれ易しい,普通,難しいといった3段階の難易度で3Dプリンタで造形を行い,3つとも組み立て後は同じ立方体になる.事前に組み木の組み立てる知識,慣れといったユーザの組み木に対する能力を確認してから行った.現在,それぞれ,どのような要素にユーザは着目し組み立てを行っているかを動画を検証し分析を行い,2015年度の国際学会で発表を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの実験等を基軸に学会発表と学術論文を最終年度として発表することができ,また,今後の具体的な研究課題等を示すことができた,
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Strategy for Future Research Activity |
本研究開発では3D-CADによって組み木(玩具)を設計した.3D-CADで組み木の形状をモデリングする際、そのモデリングの考え方が体積計算の教育方法と多く一致していることを算数教育の専門家から指摘を受けている.具体的には目標とする立体物を体積計算する際は,「小さな立体と立体を組み合わせて体積を計算する方法」と「大きな立体から小さな立体を引いて計算する方法」がある.3D-CADによる組み木のモデリング(設計)もほぼ同様の方法で行う.したがって,新規の組み木をデザインし設計する過程のデータを活用し,例えば,タブレット等のアプリケーションの開発にも応用できると考えている.このように今後は玩具と教育が一体化したアプリケーションの研究開発も推進する予定でいる.
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Causes of Carryover |
平成26年度の成果として国際学会の論文が採択されており,その論文発表が年度越しになってしまうため,その国際学会の参加費,旅費等に活用するため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
HCI2015の国際学会の参加費,旅費等に使用する.
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Research Products
(5 results)