2013 Fiscal Year Annual Research Report
地歌と地歌以外の三味線音楽との楽曲交流に関する研究
Project/Area Number |
23520161
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
野川 美穂子 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (50218294)
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Keywords | 地歌 / 浄瑠璃物 / 繁太夫物 |
Research Abstract |
今年度は、以下の研究を行った。①「浄瑠璃物」に関連する文献資料の調査、②「浄瑠璃物」の音源資料の収集と整理、③「浄瑠璃物」の音楽的特徴の分析、④地歌に引用されている江戸期の流行歌謡の調査。このうち①については、地歌の「浄瑠璃物」に関する地歌の文献資料(歌本・譜本)の収集と調査、地歌の「浄瑠璃物」の原曲に関する歌舞伎と浄瑠璃の文献資料の収集と調査を行った。その上で、地歌側の資料と歌舞伎・浄瑠璃側の資料を照合し、浄瑠璃物成立の背景を推測した。浄瑠璃物のなかでも、とくに繁太夫物の作品を中心に研究した。また、地歌の文献のうち、昨年度の研究のなかで発見した『三弦独譜』(『五線録』の異本)と『琴曲松のみばえ』(天明2年版)についても精査した。『三弦独譜』は三味線組歌の歌本であるが、浄瑠璃物を含む地歌の伝承に関する情報が含まれており、その翻刻を行った。『琴曲松のみばえ』(天明2年版)については、従来知られている宝暦8年版の『琴曲松のみばえ』との異同を調査した。②については、SP/LPレコードの音源をCD化して、研究に利用しやすい環境を整え、その音源を用いた分析である③を行った。繁太夫物の特徴を音楽的に分析するためのモデルを構築した。④については、地歌の長歌物《貴船》を例とした。《貴船》の中間部には、中世から近世初頭の流行歌謡と関連する歌詞がある。また、同時代の地歌や江戸時代後期の長唄、民俗芸能と関連する歌詞もある。それらの関連を、歌詞と音楽の両面から研究した。
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