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2011 Fiscal Year Research-status Report

インドネシアにおけるコミックの考察:叙事詩マハーバーラタを対象として

Research Project

Project/Area Number 23520169
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

福岡 まどか  大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40379318)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsワヤン wayang / コミック comic / インドネシア Indonesia / マハーバーラタ Mahabharata
Research Abstract

平成23年度は、文献研究と現地調査を行った。文献研究では、収集したコサシ氏のコミックの資料を整理し、マハーバーラタに関する作品群の分類を行い、これらの作品群の中に見られる物語の構成を主に検討した。現地調査では、まずインドネシアの首都ジャカルタ近郊のタンゲランに在住のコサシ氏の自宅を訪問し、マハーバーラタのコミックの物語構成について、創作上の工夫について、改編された部分の典拠資料の有無などについての詳細なインタビュー調査を行った。またバンドンにおいては、コサシ氏が最もその上演に親しんだワヤンのジャンルである、西ジャワの人形劇ワヤン・ゴレックの上演を依頼し、その調査と記録を行った。バンドン近郊のジェレコン在住の人形遣いダダン・スナンダール氏に上演を依頼し、マハーバーラタの中の大戦争の一部分を描いた演目"Jaya Sebitan"の上演を記録し、内容に関するインタビュー調査を行った。またバンドン在住の芸術家や研究者にもワヤンの上演について、コミックの影響についてなどのインタビュー調査を行った。 今回の調査は、93才という高齢のコミック作家に1960-70年代の創作の様子やワヤンの上演についての詳細な情報をきけたという点で、意義深いものと考えられる。また、現在マハーバーラタの大戦争を描く演目の上演はあまり一般的でない中で、それらの上演の一部分を記録することができたことも重要な成果であると考えられる。今回の調査では、インドネシア在住の研究者たちと議論を行いつつ、上演グループや演目内容を検討することができた。さらに現地の研究者たちが組織する芸術上演の保存や記録を行う事業にも貢献することができたという点でも意義を持つと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の目的としたコミック作者のコサシ氏とのインタビューが行えたことは、貴重な成果であると考えられる。創作上の工夫について、またマハーバーラタの構成方法についてなど、記憶する限りの情報を得ることができたのは重要な成果である。さらに今後の成果発表などのために、作者のコサシ氏からは画像の掲載許可を書面で得ることができた。 また、マハーバーラタの演目の中で大戦争バラタユダの一部分を描いた人形劇の上演を記録できたことも貴重な成果であると考えられる。 ただし、コミックの作者のコサシ氏はすでにかなりの高齢であることと、タンゲランに転居した際に所蔵資料の多くが散逸してしまったため、コミックの内容の詳細や典拠資料についての情報が明確にならない部分も多く見受けられた。また、作者のコサシ氏が上演に親しんだと推測される人形遣いはすでに生存していないため、上演の細部にかかわる検討をすることは難しいと考えられる。その一方で、コサシ氏のコミックに影響を受けた人形遣いや芸術家は多く存在しているため、その点から伝統芸能と大衆文化との相関関係を検討する可能性があるという展望を得た。

Strategy for Future Research Activity

今後は、コサシ氏の創作したマハーバーラタの作品群を詳細に検討しその内容の特色について考察する。その上で、可能な限り補足的なインタビュー調査を行う。またマハーバーラタに関する文献資料の検討を通して、文献資料と対比させつつ、コミックの物語の特色を検討する。さらにワヤンの上演におけるマハーバーラタの演目の検討も行い、これらの演目内容との比較を通して、コミックの特色を考察する。 上演の調査に関しては、再度現地の研究者たちと議論を重ねつつ、人形劇、影絵、舞踊劇、仮面劇などの中から適切なジャンルと上演グループを選定し、マハーバーラタに関する演目の上演を依頼して、調査・記録を行う予定である。 これらの調査を通して、伝統芸能とコミックとの相互の関連性についてさらなる情報を得て、調査・検討を行うことを目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費は、平成23年度と同様に現地調査の旅費と滞在費、上演依頼の謝金として使用する予定である。ただし、上演謝金については、ジャンルや上演グループによって謝金の単価や相場などが異なっているため、予定額での上演の内容は23年度と同じ可能性もあるが異なる可能性も予想される。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 女性性、男性性を考える--インドネシアのポピュラーカルチャーにおけるジェンダーとセクシュアリティー2012

    • Author(s)
      福岡まどか
    • Journal Title

      大阪大学大学院人間科学研究科紀要

      Volume: 第38巻 Pages: 79-103

  • [Presentation] インドネシアの女形舞踊家ディディ・ニニ・トウォ--マイノリティの芸術活動という視点からの試論2012

    • Author(s)
      福岡 まどか
    • Organizer
      マイノリティと音楽の複合的関係に関する人類学的研究 研究会(招待講演)
    • Place of Presentation
      国立民族学博物館大集会室
    • Year and Date
      2012年2月25日
  • [Presentation] インドネシア・ジャワ島インドラマユの仮面舞踊とその伝承状況2011

    • Author(s)
      福岡 まどか
    • Organizer
      東洋音楽学会西日本支部第254回定例研究会(人間文化研究機構連携研究「映像による芸能の民族誌の人間文化資源的活用」と合同開催)
    • Place of Presentation
      国立民族学博物館弟3セミナー室
    • Year and Date
      2011年10月30日
  • [Book] 着衣する身体と女性の周縁化2012

    • Author(s)
      福岡まどか
    • Total Pages
      480
    • Publisher
      着衣する身体、演じる身体--インドネシアの女形舞踊家ディディ・ニニ・トウォによるクロス・ジェンダーの試み

URL: 

Published: 2013-07-10  

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