2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23520178
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
高瀬 澄子 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (60304565)
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Keywords | 音楽学 / 日本音楽史 |
Research Abstract |
2013年度は、第一に、懸案であった伝本の収集を行った。第二に、収集した伝本の調査に基づき、「返音」の部分に焦点を絞って分析と考察を行った。研究の成果は、東洋音楽学会第64回大会(2013年11月、静岡文化芸術大学)において口頭発表し、『ムーサ』第15号(2014年3月)に論文として公表した。その概要は次の通りである。 『管絃音義』における「返音」に関する記述は、「返音輪転図」と呼ばれる図の部分と、「返音略頌」から始まる文章の部分に分けられる。正安2年(1300)書写本を祖とする系統の写本(宮内庁書陵部所蔵)には、龍笛の図も付随している。『管絃音義』における「返音」とは、平調、上無調、黄鐘調、下無調、壹越調、盤渉調、双調の順に循環するものであり、調子の移り変わりの順は、『残夜抄』の「かへりこゑ」及び『声明用心集』の「羽調変音」と一致する。真言宗の声明家、大悲房寂忍(12-13世紀)の所説を記した『声明口伝』における反音の記述は、『管絃音義』とほぼ共通している。両者の共通性の背景には、四天王寺における舞楽法会と何らかの関係があった可能性もうかがえるが、今後の検証が必要である。 なお、一般に、雅楽や声明における反音とは、転調や移調を意味する用語として説明される。しかし、『管絃音義』における「返音」が、実際に転調や移調に関わる理論をどれほど反映しているかについても、今後のさらなる検討が必要であろう。
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Research Products
(2 results)